1.大企業の業況判断DI~製造業は悪化、非製造業は改善
本日発表された日銀短観(2024年3月調査)における大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査から2ポイント悪化の11となった。景況感の悪化は4四半期ぶりで、景況感の改善は足踏みとなっている。素材業種では、市況の持ち直しにより石油・石炭製品等で景況感が改善した一方、品質不正による一部自動車メーカーの生産停止を受けて、自動車向けの素材を供給する非鉄金属や鉄鋼等の景況感が悪化したことから、全体としては横ばいとなった。また、加工業種では、価格転嫁の進む食料品等では景況感が改善したものの、生産停止の影響により自動車の景況感が大きく悪化し、全体としては2ポイントの悪化となった。
大企業非製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査から2ポイント改善の34となった。景況感の改善は8四半期連続で、水準としても歴史的な高さにある。コロナ禍明け後の需要回復の動きを背景に、運輸・郵便や対事業所サービス、不動産、対個人サービスを中心に改善が続いた。
先行きについて、大企業製造業では1ポイント悪化の10、大企業非製造業では7ポイント悪化の27と、いずれも慎重な見通しとなっている。製造業では一時的な下押し要因が解消に向かうと期待されるものの、製造業、非製造業ともに物価上昇による需要の減少、コストの増加、人手不足の深刻化等の懸念が、企業マインドの重荷になっているとみられる。
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