I.コモディティ市況全般: 一進一退
コモディティ市況は一進一退である。先行きも、米中の政策動向や中東情勢をはじめ不透明要因が多い 中で、各国の景気回復によって資源需要が増加する一方で、開発進展によって資源供給も増加すると考え られる。多くの品目の価格が同方向に大幅に変動する状況は生じにくくなっている。
II.エネルギー市況: 緩やかな下落傾向
原油市況は 12 月半ばにかけて緩やかな下落傾向が続いた。中東における地政学リスクが下支え要因 だが、目先は、原油需要の下振れにより、ブレント原油を中心に下落しやすい状況と思われる。ブレント原 油の落ち着きどころとして、100 ドル程度が意識されてくるだろう。
III.ベースメタル市況: 需要底割れの懸念後退により市況はボトムアウト
銅市況は、12 月中旬には8,100 ドル前後まで上昇した。当面は、米国の財政の崖への懸念もあり、各国 の企業は生産や購買を慎重に行うため、銅などベースメタル需要は盛り上がりを欠くだろう。しかし来年春 頃には、中国を中心に製造業活動が現状よりも持ち直すと思われ、市況は上昇しやすくなるだろう。
IV.貴金属市況: 金は再び1,700 ドル割れ
金市況は、11 月中旬以降、1,700 ドル台を回復していたが、12 月上旬には再び1,700 ドル割れとなり、 足元では1,700 ドル前後の推移が続いている。欧州の財政金融問題が蒸し返されたり、米国の財政の崖 が懸念されたりしつつも、世界景気の回復基調は維持される中で、金市況は一進一退が見込まれる。
V.トピック:原油・ベースメタル市況の見通し
2008 年までの資源価格の上昇をうけて、多くの品目では資源開発が進展している。また、中国の経済成 長率の低下や欧州景気の低迷によって資源需要は鈍化している。近年、資源需給の逼迫が懸念される状 況が続いていたが、資源需給のバランスは安定感を取り戻しつつあるようだ。特に原油価格については、 今後数年程度において、横ばい圏での推移をベースに考えた方が妥当なように思われる。
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