コモディティ・レポート (2013年1月)

2013/01/23 芥田 知至
コモディティレポート

I.コモディティ市況全般: 一進一退が続く

コモディティ市況は一進一退が続いた。欧州債務危機懸念の後退が市況の押し上げ材料になったが、米金融緩和の出口への警戒感が下押し材料になった。当面、各国の景気回復による資源需要の増加と、開発進展による資源供給力の増加が見込まれる中で、コモディティ市況は総じて横ばい推移が予想される。

II.エネルギー市況: 一進一退

国際指標となるブレント原油は、昨年10月後半以降、110ドル前後で推移している。引き続き、地政学要因による供給不安があるが、原油需要の下振れにより、ブレント原油を中心に下落しやすい状況と思われる。ブレント原油の落ち着きどころとして、100ドル程度が意識されてくるだろう。

III.ベースメタル市況: 景気回復観測を背景に底堅い動き

銅市況は、1月に入って8,100ドル前後で推移している。米国の政府債務上限問題や中国の経済政策など不透明要因はあるものの、昨年後半にあった世界景気の先行き懸念は後退している。春頃には、中国を中心に製造業活動が現状よりも持ち直すと思われ、市況は上昇しやすくなるだろう。

IV.貴金属市況: 金は1,700ドルを下回る水準で推移

金市況は1月上旬に一時1,625ドルまで下落した後、上昇に転じたが、上値は重く1,700ドルを下回る水準にとどまった。世界景気の回復基調は続くと見込まれるが、米国の財政協議への懸念や、欧州の財政金融問題が蒸し返されることで先行き不透明感は残ると思われ、金市況は一進一退が見込まれる。

V.トピック: シェール革命の経緯

北米のシェール(頁岩、けつがん)層における天然ガスや原油の生産が急増している。なお、シェールガス開発ブームの結果、北米の天然ガス需給は著しく緩和し、天然ガス市況の下落から経営難に陥る企業増えた。現在、同様の技術でシェールオイルを開発する動きが強まっている。また、国際メジャーなど大資本への集約が進みつつある。

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