I.コモディティ市況全般:2月後半から3月は一進一退
コモディティ市況は一進一退となった。G20会合等で通貨安競争の回避が確認され、各国の金融緩和による市況の押し上げ圧力が弱まった。世界景気の回復による資源需要の増加が見込まれる一方で、資源供給の安定感が増しており、当面、コモディティ市況全般として横ばい圏で推移すると見込まれる。
II.エネルギー市況: ブレント下落、WTI上昇
世界景気の回復は原油需要を押し上げるが、自動車の燃費向上や北米やイラクでの供給増が、原油需給の緩和圧力になると思われる。当面、国際指標のブレント原油はやや下落する一方で、パイプラインの増強などにより需要が増えるWTI原油は上昇気味に推移する状況が続く可能性がある。
III.ベースメタル市況:銅市況は2月下旬以降、8,000ドル以下で一進一退
銅市況は3月上旬に7,600ドル台に下落した後、中旬には7,800ドル前後に持ち直した。米国景気の回復観測が続くものの、中国景気にはもたつき感があり、鉱山開発による供給増も意識されている。もっとも、今後、各国の製造業活動の拡大に伴って市況は上昇するだろう。
IV.貴金属市況:金は1,600ドル前後で一進一退
金市況は、3月前半は1,600ドルを下回っていたが、後半になって1,600ドル台を回復している。投資家リスク志向や為替のドル高を背景に、金買いは手控えられやすい。しかし、先進国の財政問題、通貨安への懸念、中東の地政学リスクなど金買いを促す要因もあり、金市況は一進一退が見込まれる。
V.トピック: シェール革命による製造業部門への影響
シェール革命の影響が、経済全般にどのような影響を及ぼしているかは、現時点ではまだデータとしては確認しにくく、いわゆる期待先行の状態である。もっとも、米国では、シェール層の開発に伴って、石油化学原材料やエネルギーの調達等においてコストや量確保の面で有利な状況が続くと考えられている。こうした状況下、化学工業各社は大型の投資を米国で行う動きがある。
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