Ⅰ.コモディティ市況全般: 9~11月は下落傾向が続く
ドル建て国際商品市況全般の動向を示すロイター・コアコモディティーCRB指数は、下落傾向で推移し、11月には2002年11月以来の低水準となった。当面、中国を中心とした新興国経済の下振れ懸念が残り、米国の利上げ観測やそれに伴うドル高圧力もあって、コモディティ市況は一段と下落する可能性があるが、その後は、世界景気の回復に合わせて、緩やかに上昇するだろう。
Ⅱ.エネルギー市況:供給過剰への懸念から上値が重い状態が続く
国際指標とされるブレント原油は、8月24日に42.23ドルの安値をつけた後、8月末にかけて急騰する場面もあったものの、その後は、再び下落傾向で推移した。原油相場では、上値・下値とも限定された状態が続いているが、OPEC総会での減産見送りや米国の利上げをきっかけに一段と下落するリスクもある。
Ⅲ.ベースメタル市況: 銅は下落して一時4,500ドル割れ
銅市況は、8月下旬に4,900ドルを割れた後、持ち直していたが、11月は再び下落が進み、一時4,443.5ドルと2009年5月以来の安値をつけた。目先は一段安の可能性もあるが、その後は、供給削減の動きが出てきたことや米国経済が底堅いことから銅市況は緩やかに持ち直すとみられる。
Ⅳ.貴金属市況:金は10月に上昇後、11月は下落
金市況は、8月以降は反発し、10月中旬には1,190ドル超まで上昇したものの、その後は下落傾向で推移し、11月下旬には1,052.46ドルと2010年2月以来の安値をつけた。12月に米国で利上げが実施されれば、さらに下落する余地があろう。その後も、米国の金融政策を巡る思惑で金相場は変動するだろう。
Ⅴ.トピック
12月4日のOPEC総会について・・・12月4日に、第168回OPEC定例総会がウィーンで開催される。サウジアラビアなど生産シェアの維持を重視する主流派と、ベネズエラなど減産により価格を下支えしたい他の加盟国との意見の相違がある中で、結果として、減産は見送られ、現状維持となる公算が高いと考えられている。OPECが減産を始めるタイミングがやってくるまで、原油市場の供給過剰感は残り、原油相場の低迷状態は続きやすいと考えられる。
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