【今月の景気判断】
物価上昇や海外経済の減速による下振れが懸念されているが、新型コロナウイルスの感染による景気へのマイナス効果が剥落する中で、景気は緩やかに持ち直しているが、一部に弱さが見られる。内需においては、雇用が緩やかに改善し、賃金が増加する中で、個人消費は物価高の影響で財への支出が弱いうえ、対面型サービスへの支出の伸びも鈍っており、持ち直しが一服している。一方、企業部門では、交易条件悪化による利益率低下の影響が薄らぎつつあることを背景に企業利益の増加が続き、景況感は改善している。もっとも、企業の設備投資意欲が底堅い中にあって、価格高によるマイナスの影響もあり、設備投資は弱含んでいる。外需においては、インバウンド需要は順調に回復しているが、海外経済の減速により輸出は増加が一服している。こうした内外需の動きを反映して、生産は横ばいとなっている。
今後は、コロナ禍明け後の需要回復はすでに一巡しているが、所得環境の改善に合わせて個人消費は増加基調で推移しよう。また、インバウンド需要の回復、自動車の生産制約の解消、春闘の賃上げ率アップを反映した賃金の増加継続も、景気にとってプラス要因となる。さらに、企業の設備投資意欲は底堅く、今後は持ち直し傾向で推移すると期待される。ただし、①世界経済が減速し、輸出の低迷が長期化する、②サービス消費の増加一巡後に、物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化、実質購買力の低下によって個人消費が落ち込む、③コスト高による企業業績の悪化が設備投資を抑制する、④人手不足による供給制約に直面する、といった景気下振れ懸念も多く、景気回復テンポが大幅に鈍るリスクは残る。
【今月の景気予報】
【当面の注目材料】
- 経済正常化に向けた動き~コロナ禍の終息・経済社会活動の正常化に向けた動きの景気へのプラス効果の大きさと持続力
- 個人消費~物価上昇の影響、リベンジ消費の強さと持続性、春闘・ボーナスを含む賃金動向
- 企業部門~コスト高の業績・設備投資への影響、人手不足・2024年問題への対応
- その他~令和6年能登半島地震の景気への需要面、供給面での影響
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