グラフで見る景気予報 (2024年4月)

2024/04/02 調査部
グラフで見る景気予報
GDP
国内マクロ経済

【今月の景気判断】

物価高による内需の低迷を背景に景気は足踏みしており、すでに後退局面入りしている可能性がある。内需においては、雇用が緩やかに改善し、賃金が増加する中で、物価高による実質賃金の低迷の影響に加え、コロナ禍明け後のサービス需要の回復も一巡しており、個人消費は弱含んでいる。これに対して企業部門では、コスト高によって業績改善テンポが鈍りつつある中、景況感は非製造業で改善しているが、製造業では自動車生産減少の影響で悪化している。一方、企業の設備投資意欲は底堅く、価格高によるマイナスの影響や人手不足による供給制約がある中でも横ばいとなっている。外需においては、インバウンド需要は順調に回復しているが、海外経済の減速により輸出は横ばいとなっている。こうした内外需の動きに加え、能登半島地震や一部自動車メーカーの工場稼働停止の影響で生産は弱含んでいる。

今後は、1~3月期もマイナス成長が予想されるが、春先以降、景気は再び緩やかな回復軌道に復帰する見込みであり、仮に景気後退局面入りしたとしても、軽微かつ短期間で終了すると考えられる。個人消費は、コロナ禍明け後の需要回復一巡に加え、実質賃金の減少継続により低迷が続くが、春闘での高い賃上げ率が反映され、所得環境が改善するのに合わせて徐々に持ち直そう。さらに、企業の設備投資意欲は底堅く、今後は持ち直し傾向で推移すると期待される。ただし、目先は自動車の生産減少の影響の長期化が心配されるうえ、①世界経済が減速し、輸出の低迷が長期化する、②物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化、実質購買力の低下によって個人消費が落ち込む、③コスト高による企業業績の悪化が設備投資を抑制する、④人手不足による供給制約に直面する、といった景気下振れ懸念も多く、景気の足踏み状態が長引くリスクは残る。

【今月の景気予報】

今月の景気予報2024年4月

【当面の注目材料】

  • 経済正常化に向けた動き~コロナ禍の終息・経済社会活動の正常化に向けた動きの景気へのプラス効果の大きさと持続力、日本銀行の金融政策修正の影響
  • 個人消費~物価上昇の影響、リベンジ消費の強さと持続性、春闘・ボーナスを含む賃金動向
  • 企業部門~コスト高の業績・設備投資への影響、人手不足・2024年問題への対応
  • その他~令和6年能登半島地震の景気への需要面、供給面での影響、一部自動車メーカーの工場稼働停止の影響

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