グラフで見る景気予報 (2024年11月)

2024/11/05 調査部
グラフで見る景気予報
GDP
国内マクロ経済

【今月の景気判断】

景気は足踏み状態を抜け出し、緩やかに持ち直している。内需においては、雇用が改善し、名目賃金が増加する中で、物価高による実質賃金の低迷で弱含んでいた個人消費は徐々に下げ止まっており、足元では持ち直しの動きがみられる。これに対して企業部門では、良好な業績を反映して景況感は回復傾向にある。また、企業の設備投資意欲は底堅く、価格高によるマイナスの影響や人手不足による供給制約がある中でも持ち直しの動きがみられる。外需においては、インバウンド需要は増加基調にあるうえ、米国を中心に海外経済は持ち直しつつあり、輸出には持ち直しの動きがみられる。一方、一部自動車メーカーの工場稼働停止や大型台風などの自然災害の影響によって落ち込んだ生産は、その後増加に転じたが、均してみると横ばいとなっている。

今後も景気は緩やかな持ち直しが続く見込みである。実質GDP成長率は7~9月期も小幅ながらも前期比プラスを維持し、それ以降もプラス基調を維持しよう。個人消費は、コロナ禍明け後の需要回復一巡、実質賃金の低迷がマイナス要因だが、春闘での高い賃上げ率が反映され、所得環境が改善するのに合わせて持ち直していこう。さらに、企業の設備投資は、投資意欲が底堅く、今後も持ち直しが続くと期待される。輸出も、自動車生産回復や世界的な半導体需要増加を背景に持ち直していこう。また、最近の金融市場の混乱は概ね収束しているうえ、日本銀行の利上げ後も金利上昇は小幅にとどまっており、実体経済への影響は軽微である。ただし、コロナ禍明け後のサービス需要の回復一巡や天候不順のマイナスの影響に加え、①世界経済が減速し、輸出が低迷する、②物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化、実質購買力の低下によって個人消費が落ち込む、③人手不足による供給制約に直面する、といった景気下振れ要因も多く、景気が減速するリスクは残る。

【今月の景気予報】

今月の景気予報2024年11月

【当面の注目材料】

  • 個人消費~実質賃金の改善など消費を取り巻く環境の行方
  • 企業部門~コスト高の業績・設備投資への影響、人手不足への対応、2025年の春闘への対応
  • 海外経済~米大統領選の結果と日本経済への影響、米国の利下げ動向とソフトランディングの成否
  • その他~石破政権の経済政策の内容とインパクト、株価、為替など金融市場の動向と実体経済への影響

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