景気ウォッチャー調査(東海地区:2016年6月) ~ 現状判断DIは3ヶ月連続で低下、11ヶ月連続の50割れ ~
○7月8日に内閣府が公表した「景気ウォッチャー調査」によると、東海地区の6月の現状判断DI(3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断:各分野計)は、前月差1.9ポイント低下の40.3と3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を11ヶ月連続で下回った。家計動向関連(小売、飲食、サービス、住宅関連)DIは、同2.3ポイント低下の39.3と3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を11ヶ月連続で下回っている。企業動向関連と雇用関連からなるDIは、同1.1ポイント低下の42.3と3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った(注1)。
○6月の先行き判断DIは、前月差7.7ポイント低下の40.5と2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を5ヶ月連続で下回った。また、家計動向関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同4.9ポイント低下の42.4と、2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を5ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同13.1ポイント低下の36.9と、2ヶ月ぶりに大幅に低下し、中立を示す50を2ヶ月ぶりに下回った。
○現在の景気の水準自体に対する判断DI(各分野計)は、6月は前月差0.5ポイント上昇の40.1と、3ヶ月ぶりに上昇したが、中立を示す50を11ヶ月連続下回った。家計動向関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同2.0ポイント上昇の38.0と3ヶ月ぶりに上昇したが、中立を示す50を27ヶ月連続で下回っている。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同2.5ポイント低下の44.2と、2ヶ月ぶりに低下し、中立を示す50を3ヶ月連続で下回った。
○内閣府では、全国調査での景気ウォッチャーの見方として「景気は、海外経済の不確実性の高まりを背景とした円高、株安の中、企業動向等への懸念により、引き続き弱さがみられる。先行きについては、熊本地震からの復興、公共工事の増加への期待がある一方、英国のEU離脱問題等による海外経済や金融資本市場の動向等への懸念が大きいことに留意する必要がある」とまとめ、現状については前月の判断を基本的に維持しているが、先行きについては慎重な見方をしている。
(5月のまとめ)「景気は、引き続き弱さがみられ、熊本地震によるマインド面の下押し圧力が未だ残っている。先行きについては、販売価格が引き上げられない中で原材料価格が上昇する等、物価動向への懸念がある一方、熊本地震からの復興、夏のボーナスや設備投資増加への期待がみられる」
○東海経済については、「景気は弱含んでいる。家計動向関連、企業動向・雇用関連ともに低調な動きが続いている中、英国のEU離脱問題による円高、株安の影響がマインド面を中心に現れている。先行きについても、英国のEU離脱問題や円高・株安が懸念され、悪くなるとの見方が急速に広がっている」とまとめられる。
(5月のまとめ)「景気は弱い動きが続いている。家計動向関連は節約志向も影響して単価の下落が続くなど低調である。企業動向・雇用関連では、4月の熊本地震や大手自動車メーカーの燃費不正問題が自動車生産を中心にマイナス要因となっている。先行きについては、熊本地震の影響一服による改善が期待されている。また、消費増税の再延期がプラス材料という評価もあるが、懐疑的な見方もある。」
○景気の現状判断DIは3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を11ヶ月連続で下回った。家計動向関連の現状判断も3ヶ月連続で低下、11ヶ月連続で横ばいを示す50を下回り、弱い動きが続いている。インバウンドや富裕層の消費に陰りが見られる他、英国のEU離脱問題など先行きの不透明感を高めるニュースが判断の悪化につながった。また、企業動向・雇用関連の現状判断は3ヶ月連続で低下し、横ばいを示す50を3ヶ月連続で下回った。こちらも英国のEU離脱問題の影響による円高・株安の進展等が悪材料となった。
○景気の先行き判断DIは2ヶ月ぶりに低下し、横ばいを示す50を5ヶ月連続で下回った。家計動向関連の先行き判断も同様の動きとなっている。伊勢志摩サミットや猛暑の効果により改善を見込む声があるものの、英国のEU離脱による世界経済の不透明感の高まり、円高の進展などから悪化を見込む回答が大幅に増えた。企業動向・雇用関連は2ヶ月ぶりにDIが大幅に低下し、2ヶ月ぶりに横ばいを示す50を大きく下回った。こちらも英国のEU離脱問題の影響による円高の進展が悪材料となり、前月のDIが自動車関連の挽回生産への期待から水準を上げていた反動も相まって、下げ幅が急拡大した。
(注1)企業動向関連と雇用関連からなるDIは、内閣府HPに掲載されている地域別の各分野合計値から家計動向関連の値を除いた上で、「景気ウォッチャー調査」のDI算出方法に従って当社調査部にて試算した。
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