景気ウォッチャー調査(東海地区:2016年10月) ~ 現状判断DIは3ヶ月ぶりに上昇するも、15ヶ月連続の50割れ ~
○11月9日に内閣府が公表した「景気ウォッチャー調査」によると、東海地区の10月の現状判断DI(3ヶ月前と比較しての景気の現状に対する判断:各分野計)は、前月差3.1ポイント上昇の46.4と3ヶ月ぶりに上昇したが、横ばいを示す50を15ヶ月連続で下回った。家計動向関連(小売、飲食、サービス、住宅関連)DIは、同2.6ポイント上昇の44.2と3ヶ月ぶりに上昇したが、横ばいを示す50を15ヶ月連続で下回った。企業動向関連と雇用関連からなるDIは、同3.9ポイント上昇の50.6と2ヶ月ぶりに上昇し、横ばいを示す50を7ヶ月ぶりに上回った(注1)。
○10月の先行き判断DIは、前月差1.5ポイント上昇の49.4と4ヶ月連続で上昇したが、横ばいを示す50を9ヶ月連続で下回った。家計動向関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同1.7ポイント上昇の48.7と3ヶ月ぶりに上昇したが、横ばいを示す50を9ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の先行き判断DIは、同0.9ポイント上昇の50.6と4ヶ月連続で上昇し、横ばいを示す50を5ヶ月ぶりに上回った。
○現在の景気の水準自体に対する判断DI(各分野計)は、10月は前月差3.9ポイント上昇の44.1と3ヶ月ぶりに上昇したが、中立を示す50を15ヶ月連続下回った。家計動向関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同3.1ポイント上昇の39.7と3ヶ月ぶりに上昇したが、中立を示す50を31ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連のウォッチャーによる景気の水準自体に対する判断DIは、同5.4ポイント上昇の52.8と2ヶ月連続で上昇し、中立を示す50を7ヶ月ぶりに上回った。
○内閣府では、全国調査での景気ウォッチャーの見方として「持ち直している。先行きについては、一部には燃料価格などコストの上昇等への懸念があるものの、受注や求人増加の継続等への期待がみられる」とまとめ、現状判断を改善させている。
(9月のまとめ)「景気は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、引き続き海外経済や金融資本市場の動向等への懸念がある一方、旅行・観光分野の回復、受注や求人増加の継続等への期待がみられる」
○東海経済についての東海地区の景気ウォッチャーの見方は「景気に弱さが残るものの、持ち直しの動きが出ている。家計動向関連では天候不順の落ち着き、企業動向・雇用関連では世界情勢、為替や株式市場の落ち着きが安定要因となっている。先行きについては、天候や世界経済・金融市場で波乱が無いことを前提に、持ち直しが期待されている」とまとめられる。
(9月のまとめ)「景気は弱い動きが続いている。家計動向関連では天候不順が、企業動向・雇用関連では円高がマイナス材料となっている。先行きについては、持ち直しが期待されているが、これらのマイナス材料が続くことが懸念されている」
○景気の現状判断DIは3ヶ月ぶりに上昇したが、横ばいを示す50を15ヶ月連続で下回った。家計動向関連の現状判断も3ヶ月ぶりに上昇したが、横ばいを示す50を15ヶ月連続で下回り、弱い動きが続いている。家計動向関連では、家計の低価格・節約志向がマイナス材料となっているものの、天候不順が落ち着いてきたことが持ち直し材料となっている。企業動向・雇用関連の現状判断は2ヶ月ぶりに上昇し、横ばいを示す50を7ヶ月ぶりに上回った。特段強いプラス材料があるわけではないが、世界情勢や国内外の金融市場に落ち着きが出ていることがマインドを改善させている。
○景気の先行き判断DIは4ヶ月連続で上昇したが、横ばいを示す50を9ヶ月連続で下回った。家計動向関連の先行き判断は3ヶ月ぶりに上昇したが、横ばいを示す50を9ヶ月連続で下回った。企業動向・雇用関連はDIが4ヶ月連続で上昇し、横ばいを示す50を5ヶ月ぶりに上回った。家計動向関連では年末年始の季節要因に対する期待があるが、低価格・節約志向が強いことから慎重な見方が優勢である。企業動向・雇用関連でも、年末年始の季節要因が改善見込みの要因となっているが、世界の政治経済情勢や金融市場などビジネス環境の落ち着きが続くことが重要な前提条件である。
(注1)企業動向関連と雇用関連からなるDIは、内閣府HPに掲載されている地域別の各分野合計値から家計動向関連の値を除いた上で、「景気ウォッチャー調査」のDI算出方法に従って当社調査部にて試算した。
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