新型コロナウイルス感染拡大の深刻化以降、M&Aの現場では中止や延期となる案件が散見される。その要因としては、企業業績の先行き不透明感や、外出自粛によるM&Aプロセスの遅延、買主側の投資マインドの悪化などが挙げられる。
5月下旬に全国的に緊急事態宣言が解除され、経済活動は再開されているが、上記の要因は一朝一夕で解消されるものではない。当面はM&Aの遂行に難しい舵取りが求められる状況は続くであろう。一方で、企業の成長戦略においてM&Aが重要な選択肢であることは、依然として変わらない事実である。
また、既に検討中のM&A案件が存在する場合、いたずらに時間をかけていては買収対象会社の体力が低下し、買収後の統合活動に多大な労力を要する懸念がある。そのため、案件の遂行可否については、決断を速やかに下す必要があるだろう。
本レポートでは、新型コロナウイルス感染症対策下でM&Aを遂行するための留意点について、主として契約面・実務面の観点を中心に、買主の立場から整理する。なお、買収対象会社のバリュエーション(企業価値評価)における留意点については、弊社レポート「新型コロナウイルス感染拡大による影響を考慮した企業価値評価の留意点」 を参照いただきたい。
<本稿の構成>
1. 契約面での留意点
新型コロナウイルスに関する今後の情勢が不透明な状況下、買主としてリスクをヘッジしつつ、売主との合意を円滑に図るための契約条項における工夫について
2. 実務面での留意点
新型コロナウイルス感染症対策下におけるM&A実務のポイントについて
3. その他
新型コロナ問題に関する行政の支援策とM&Aスキームとの関係について
4. まとめ
本稿のまとめ
(続きは全文紹介をご覧ください。)
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