新型コロナウイルスの感染拡大は、タイにおける企業活動においても大きなインパクトを与えた。足元で経済活動の再開が進む中、今後はアフターコロナの展望を踏まえた事業変革など、企業の迅速な対応が求められることになる。本レポートでは、アフターコロナにおけるタイおよび日系企業の方向性について考察する。
<本レポートの要旨>
・タイ政府は2020年3月末に非常事態宣言を発令。新型コロナウイルスに対応した各種の施策を迅速に進め、感染防止において一定の成果を見せた。
・上記期間における企業活動へのインパクトは大きく、民間消費・設備投資などの主要指標は第1四半期に軒並みスローダウンした。
・主要業界別には濃淡があるものの、タイにおける進出日系企業の割合が大きい製造業、特に自動車、電機業界では、販売不振を受けた工場停止や輸出のペースダウンなどの影響が見られた。
・タイ政府は4月に、マスク・ゴム手袋・フェイスマスクをはじめとする医療用品および医療器具の生産に伴う免税期間延長などに関する新たな優遇策を公表。その他高度人材の就業要件の緩和などが検討されているなど、アフターコロナを見据えた各種施策が進んでいる。
・日系企業の戦略の方向性
タイ拠点の強化:「統括機能の見直し・強化」。「資本・グループ再編」、「事業ポートフォリオの見直し」等
自動化の推進:非接触型の新ビジネスの創造(農業、医療、教育、金融分野)や自社の流通チャネル変革等
サプライチェーン変革:「中国からタイへの移管・機能分散」「タイから周辺国への機能移管」等
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