パンデミック禍でも再生可能エネルギーセクターの拡大促進政策は続く~日本における再生可能エネルギー由来の電力は調達から促進に変化する~
IEA(International Energy Association:国際エネルギー機関)は2020年3月に2020年のエネルギー需要は6%減少するとの推測を発表した。世界のエネルギー需要がこれほど減少することは過去70年間で前例がないとのことである。Covid-19パンデミック禍の収束後には、世界各国で社会的・経済的損害を修復するための行動が加速していくことが予測される。この中で、地球温暖化防止の取り組みが疎かになる危惧もある。
本レポートではパンデミック禍の世界における電力需要の現況と再生可能エネルギーセクターの動向を紹介する。
<本レポートのサマリ>
・ロックダウン後、電力需要はイタリア-30%、フランス-20%、英国-16%まで減少した
・欧州の2020年1月~3月期の全電源における再生可能エネルギー比率は2019年比で増加
・IEA(国際エネルギー機関)は2020年のエネルギー需要は6%減少すると予測。第1四半期の世界のエネルギー需要は3.8%減少したとのこと。4月中旬までのデータ分析では、完全なロックダウン実施国では1週間あたり平均25%のエネルギー需要が減少し、部分的なロックダウン実施国では平均18%の減少となっている
・石炭は-8%弱、天然ガスは-5%、石油は-9%、原子力は-2%強の減少となる中、再生可能エネルギー需要は約1%増加し、全ての再生可能エネルギー電源で電力需要が増加した。一方、再生可能エネルギーの燃料利用に関しては、バイオ燃料が輸送セクターの活動に影響され、減少傾向となると予測されている
・IEAはパンデミック禍においては、これまで増加してきたエネルギー需要とCO2排出量の増加を相殺するほどエネルギー効率は改善されておらず、エネルギー需要が減少しているパンデミック禍では世界が気候温暖化防止目標を達成することが困難になっていると指摘する。エネルギー効率の改善が重要であると提言した
・Covid-19パンデミック禍の中、洋上風力発電事業の入札は欧州では進んでいるが、ブラジル・米国では延期となっている。一方、欧州では同事業の停止は少なく、台湾・日本市場への対応も推進されている
・日本では、エネルギー供給強靭化法による再生エネルギー特措法の改正、再エネ海域利用法が施行され、再生可能エネルギー由来の電力は調達から促進に意識が変化している
・経済産業省「インフラ海外展開懇談会中間とりまとめ」でも、再生可能エネルギーが重要であるとの意識に変化し、海外への展開を視野に入れている
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