企業人事部門のトピックスに関するアンケート調査(2024年度)~「賃上げ」「人的資本経営」「定年延長」などに関する動向~

2025/01/31 花井 宏介、小口 智香
組織・人事戦略
独自調査
人的資本
開示

【要旨】

当社と三菱UFJ信託銀行は、「賃上げ」「人的資本経営と人的情報開示」「定年延長およびシニア活躍推進」などに関するアンケート調査を実施した。結果は以下の通りである。

(1)賃上げ

  • 2024年は賃上げをベースアップで対応した企業(54.3%)が最も多かった。一方、賃上げを実施していない企業は9.4%で少数にとどまった。賃上げの1人当たり平均金額は「1万円以上1万2,500円未満」(23.9%)が最多で、5,000円以上1万2,500円未満とした企業が56.5%であった。
  • 賃上げを実施した理由は、「物価上昇への対応(48.5%)」とした企業が最も多く、次いで「労働組合からの要請」、「賃金引き上げに関する政府要請への対応」(ともに29.3%)となった。
  • 2025年も賃上げの実施を想定している企業は全体の75.0%であり、うち44.0%は「2024年並みの水準の賃上げを想定」と回答した。一方、賃上げを「実施しない」とした企業は23.7%にとどまった。

(2)人的資本経営と人的情報開示

  • 人的資本経営に取り組む目的として最も多かった回答は「経営戦略の達成・経営戦略と人材戦略の連動強化」であった(55.0%)。
  • 人的資本経営で得られた効果として最も多かった回答は「人材マネジメント上取り組むべき方向性が明確になった」であった(34.1%)。
  • 人的資本経営の推進には、「計画/実行」「可視化」「開示」を連動させて実施することが有用であるが、いずれの段階においても「着手している」と回答した割合は全体の7割程度を占めた。しかし、これには「着手しているが十分ではない」と回答した割合(全体の3~4割程度)が含まれている。

(3)正社員の定年延長およびシニア活躍推進の実施状況

  • 「60歳定年」と回答した割合が58.0%であった一方、「定年が65歳以上(選択定年および定年なしも含む)」と回答した割合は35.2%であった。
  • 定年延長などの実施理由として最も回答が多いものは「従業員の確保」(69.1%)、次いで「技術やノウハウを保有する社員の確保」(41.1%)となり、量・質の両面での人材確保に関する回答が上位に並ぶ結果となった。
  • 60歳以上の正社員または再雇用社員の平均年収(60歳到達直前比)について、60%以上80%未満と回答した企業の合計が全体の47.8%を占めた。
  • 定年到達以前に役職定年またはポストオフにより役職の解任を行っている企業が全体の75.3%であった一方、いずれも実施していないと回答した企業が21.5%あった。

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執筆者

  • 花井 宏介

    コンサルティング事業本部

    組織人事ビジネスユニット HR第2部

    マネージャー

    花井 宏介
  • 小口 智香

    コンサルティング事業本部

    組織人事ビジネスユニット HR第1部

    コンサルタント

    小口 智香
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