1. はじめに
2020年3月13日に改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、4月7日に、1都6府県に対して緊急事態宣言が発出された。その後、4月16日にはすべての都道府県が緊急事態宣言の対象となり、「人との接触を8割減らすこと」を目標とした自粛対応が全国的に求められた。人々はこの目標を達成するため、全都道府県で緊急事態宣言が解除された5月25日までの約1か月にわたり、過去に経験したことのない自粛生活を送ることとなった。
「人との接触を8割減らす」という目標を達成するうえでは、一人ひとりが感染拡大防止のために外出等の活動を自粛し、社会全体で協力して対応にあたる必要があった。これまでに経験したことのある脅威であれば、過去の経験や既有の知識によって対応することが可能であるが、新型コロナウイルスはまったく未知の脅威であり、その対応にあたっては、人々は新たに情報を入手して、自粛生活の送り方や感染拡大防止につながる行動を学んでいかなければならなかった。そのために人々が、どのような方法で情報を入手したのか、どのような情報源に信頼を置いて行動したのかを把握することは、今後の新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込む新しい生活様式や第2波、第3波への対策において、重要であると考えられる。
そこで本稿では、全国が緊急事態宣言の対象となっていた4月17日から5月6日までの期間において、人々が感染拡大に対応した行動を選択するうえで参考にしていた情報源と、人々の自粛対応への考え方がどのように関連していたかを紹介する。 具体的には、自分の意志や行動で感染拡大を防止できるとの「自己効力感」、接触を減らせない人の分まで他の人たちが接触を減らすよう協力できるとよいという社会全体での「協力意識」、さらに目標や方針に沿った行動を取らない人に対して腹立たしさを覚えるという「他責感情」の3点から、人々の自粛対応への考え方を確認している。また、それらの分析結果から、どのような情報提供が、感染拡大の抑止に対し積極的かつ協力的な意識醸成に寄与しうるのかを考察する。・・・(続きは全文紹介をご覧ください。)
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