1. はじめに
新型コロナウイルスの感染が世界的な規模で広がる中、わが国では、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、2020年4月17日から5月6日にかけて、すべての都道府県が緊急事態宣言の対象となった。緊急事態宣言下においては、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部から発出された、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28 日)を踏まえ、国民一人ひとりが不要不急の外出を自粛し、「人と人との接触を7割から8割削減」とする目標が示された。
これらの取り組みと並行して、「国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者及びこれらの業務を支援する事業者」については、緊急事態宣言下においても、「『三つの密』を避けるために必要な対策を含め、十分な感染拡大防止対策を講じつつ、事業の特性を踏まえ、業務を継続すること」が求められた。主な対象となったのは、①医療体制の維持、②支援が必要な方々の保護の継続、③国民の安定的な生活の確保、に該当する事業者等である。
上記のうち、「①医療体制の維持」の従事者は、新型コロナウイルス対応の最前線において、感染リスクと隣り合わせの中で、新型コロナウイルス感染症患者の治療、通常の診療の維持、重要疾患等への対応等を続けることとなった。緊急事態宣言は2020年5月25日付でいったん解除されたものの、国内の新型コロナウイルスの感染拡大は全国で続いており、今後危惧されている患者の急増やそれに伴う医療資源の逼迫等について、備えと対応が求められている。
こうした状況を踏まえ、本稿では、当調査において、自身の「勤務先の業種」で「医療」を選択した回答者(以下、「医療従事者」という)に着目し、緊急事態宣言前後の働き方や生活の状況、自分自身が困っていること等を尋ねた結果から、新型コロナの感染拡大や外出自粛対応が医療従事者やその家族等に与えた影響について考察する。・・・(続きは全文紹介をご覧ください。)
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