わが国における外国人医療の現状について~ 「外国人患者の受入に関するアンケート調査」の結果より ~
2012/08/29 星芝 由美子
独自調査
社会政策
医療福祉政策
包括的な支援
多文化
わが国における外国人医療の現状を把握するための基礎資料として、「外国人患者の受入に関するアンケート調査」を実施したので、その結果を報告する。
【調査概要】
わが国社会システムにおいて、外国人対応が求められる場面が増加していることをふまえ、特に医療分野に着目し、弊社の独自調査によって外国人による医療需要や外国人受入環境整備の状況等を把握した。
【結果の概要】
- (外国人医療の概況)過去1年間で外国人による利用があったと回答した病院は74.6%であり、その受入人数は46千人/年程度だが、利用者の98.1%は「日本在住」者で、「観光目的」「治療・検査目的」で来日した外国人は1.9%に留まる。
- (外国語対応の概況)外国語では円滑な対応ができない病院が27.0%を占めたが、英語で61.1%、中国語で12.6%、韓国語で4.7%の病院が受入可能とのことである、ただし、無回答および未回収の病院の多くは、受入可能な言語がないものと考えられ、仮に無回答と未回収を受入可能な言語がないとみなして、標本数を分母として計算し直すと、円滑な対応ができる外国語がある病院は7.1%に留まる。
- (医療観光への対応)「治療・検査目的」で来日する外国人を受け入れる、いわゆる「医療観光」に積極的に取り組んでいる病院は回答の8.1%、今後の関心があるとした病院が24.7%であった。これも同様に標本数を分母として計算し直すと「医療観光」に積極的に取り組んでいる病院が0.9%、今後の関心がある病院が2.7%となる。回答のあった受入可能規模を積み上げると2千人強/月で、うち5割が「健診・検診」、4割が「外来治療」であった。
- (外国人医療の課題)外国人受入にあたって多言語化(人材の多言語化が93.4%、表示の多言語化が60.2%)を課題とする意見が多くを占めたが、治療費の送金や決済も65.7%が課題として挙げており、外国人患者の受入においては、未収金への不安が大きな障壁となっている。
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