名古屋環状2号線の開通による経済効果~高速道路部分(名二環)の最初の開通から約30年 これまでに約3兆8千億円の経済効果 都市圏の経済発展を牽引 ~今後の西南部区間等の開通で都市圏が一体となった経済発展の実現へ~
2017/08/22 右近 崇、宮下 光宏、水谷 洋輔
運輸・交通
経済効果
道路
概要
- 名古屋環状2号線は、名古屋市の外周部に位置し、高速道路部分(名古屋第二環状自動車道[名二環]および伊勢湾岸自動車道)と一般道路部分(一般国道302号)が立体的に併設する名古屋都市圏の環状道路である。当路線は、これまで段階的に開通を迎え、現時点では高速道路部分の未開通区間(約12km)および一般道路部分の暫定2車線区間の4車線化(約14km)を残すのみである。
- そうした中、先月(2017年7月28日)、高速道路部分の開通見通しが2020年度(平成32年度)となることが発表された。1957年(昭和32年)に名古屋市外周部の外環状街路として都市計画決定されてから約60年もの月日を経て、都市圏環状道路として完全なリングの姿をあらわそうとしている。
- 本稿では、地理情報システム(GIS)を活用して、「土地利用」、「人口集積」、「住宅地地価分布」の観点から各種統計データ等を用いて名古屋都市圏の面的な変遷を分析するとともに、経済モデル(応用都市経済モデル[Computable Urban Economic:CUEモデル])を用いて、これまでの名古屋環状2号線の開通によって、地域経済にもたらされた経済効果および今後の開通によってもたらされる経済効果の分析を行った。
- 名古屋環状2号線のこれまでの開通によって、約30年間で約3兆8千億円の経済効果(帰着便益)が中京都市圏にもたらされたと考えられる(名二環の最初の開通年(海上部除く)である1988年(昭和63年)から2015年(平成27年)までの28年間の累積便益を現在価値換算した結果)。
- 1988年(昭和63年)当時の経済規模を基準として28年間をかけて3兆8千億円の経済効果が総生産に上乗せされると仮定すると、年平均0.49%の経済成長率に相当するインパクトであり、中京都市圏の経済発展の速度を大きく促進させた。
- 直近の2011年(平成23年)に開通を迎えた名古屋環状2号線の「東部・東南部」区間および今後開通を迎える「西南部・南部II」区間の開通によって、名古屋環状2号線の沿線地域の中で、これまで経済効果が控えめであったこれらエリアにおいても大きな経済効果がもたらされ、都市圏が一体となった経済発展の実現が期待される。
- これまでの名古屋環状2号線の開通による経済効果のストックは、今後も引き続き発現することが期待される。そのため、より一層の名古屋環状2号線の利用促進を図るとともに、今後の高速道路部分の全線開通および一般道路部分の全線4車線化を見据えて、経済効果を早期にかつ最大限に発現させるべく、沿線開発支援など受け皿となる地域発展の戦略を滞りなく推進させながら、名古屋都市圏および中京都市圏が一体となった経済発展の実現が求められる。
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