1. 調査の背景・目的
近年、「文化財」を取り巻く環境は大きく変容している。文化庁では、平成28年3月末に「文化財活用・理解促進戦略プログラム2020」を策定し、文化財を中核とする観光拠点の整備など、観光による「活用」を新たな軸とした取組を推進している。また、日本における文化財を活用・発信し地域活性化に繋げることを目的として「日本遺産(Japan Heritage)」の認定を推進するなど、各地域では文化財を活かした観光客の誘致促進など、地域活性化に向けた動きがみられる。この他、文化芸術基本法(平成29年6月改定)やそれに基づく文化芸術基本計画(第1期、平成30年3月閣議決定)、文化経済戦略(平成29年12月)など、近年定められた法律・計画等においても、文化財の保存とともに計画的な活用の推進が盛り込まれている。そして、平成30年3月に、市町村が文化財の適切な保存とともに地域づくりに活かしていくための制度整備を柱とした文化財保護法改正案 が、平成31年度の施行を目指し、閣議決定された。
このように、今後「文化財」はその価値を単に保存するだけではなく、「観光」「コミュニティ振興」など新たな分野と密接に連携し、「活用」していくことが求められている。
一方で、自治体など現場レベルにおいては、具体的な「活用」に向けた取組について課題に直面していることが想定されるが、その実態は明らかにはなっていない。そこで、本調査では、文化財の活用・保存に係る地方公共団体の取組の実態調査を行い、文化財の適切な活用・保存の在り方について検討を行う。....(続きは全文紹介をご覧ください)
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