地方自治体における地方創生・まちづくりの取組動向に関するアンケート調査

2018/07/06 筒井 康史、佐々木 雅一
自治体経営
独自調査
行政

まち・ひと・しごと創生法が平成28年4月1日に施行され、全国の地方自治体において「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が展開されています。
また、まちづくりの分野では、都市再生特別措置法の改正等により、「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の考えによる各種まちづくりが展開されています。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは、まち・ひと・しごと創生総合戦略における「まち」をテーマに、少子高齢化・人口問題を解決するために必要な「まちづくり施策」と「公共施設の総合管理」について、全国主要自治体におけるその「取組状況と課題問題点」を把握するため、アンケート調査を実施しました。

調査結果概要

「総合戦略」の進捗管理状況について

  • ほとんどの自治体において、総合戦略の進捗管理は「外部有識者等を含む検証機関による審議」方法で行われ、その結果を住民に公開しています。進捗管理を行っていない自治体は、「計画期間を満了していない、計画で定めた評価期間となっていない」など評価するタイミングとなっていない状況で、今後は行う予定との回答もあり、概ね適正に進捗管理されていると言えます。

「総合戦略」と「総合計画」の関係性について

  • 既存の総合戦略は、総合計画とは別に定められている状況ですが、総合戦略の内容は総合計画の基本計画や実施計画と連動させるなど、関係性を有した取り組みがなされています。
  • また、将来の総合戦略の改定の考え方を確認すると、総合計画とは別に策定する自治体が多いものの、「総合計画の基本計画等に総合戦略を位置付ける予定」の自治体が増える見通しです。

総合戦略における「まちづくり施策」の位置づけについて

  • 少子高齢化・人口減少問題の対策として総合戦略に位置づけられている「まちづくり施策」としては、「空き家・空き店舗対策」「コミュニティバス等の公共交通事業」「にぎわい交流施策」等が多く選択されています。これら施策の推進にあたって、「財源の捻出」が問題として指摘され、これら施策を実施しても「効果が乏しい」「人口減少の歯止めがきかない」実態も確認されました。

総合戦略の推進における「公共施設の施設管理」の見通しについて

  • まちづくり施策の受け皿になる公共施設の管理見通しを確認しました。「特に問題なし」との回答割合は3割に留まりました。「一番 問題」となっている施設を取り上げると、「教育施設(小・中学校)」「公民館・集会所」「上・下水道施設」が上位に選択され、その問題内容は、「財源確保」を筆頭に、「統廃合ができない」「合意形成が進まない」「方向性が定められない」といった点が確認できました。

※計画は適正管理できている一方で、中身の施策・事業の推進には課題があり、施策を実施しても人口減少に歯止めがきかないという厳しい状況を抱える自治体の姿が確認できました。

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