~ブロックチェーン技術は電力分野にイノベーションを起こすか~環境・エネルギー政策における先端情報管理技術の活用動向調査から

2019/04/22 淺田 陽子
エネルギー
サステナビリティ

1.はじめに

当社では、「環境・エネルギー政策における先端情報管理技術の活用動向調査」と題し、ブロックチェーン技術を中心とした先端情報管理技術について、環境・エネルギー分野における動向調査を実施した。当該調査では、環境・エネルギー分野、その中でも特に先進的な取り組みがみられる電力分野に着目して、ブロックチェーン技術の活用事例を整理した。本稿ではその調査結果を紹介するとともに、ブロックチェーン技術の今後の展望を考察する。

2.ブロックチェーン技術の概要

(1)ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンは、取引履歴を順番にブロックに格納し、それをチェーン状につなげて記録する技術であり、従来技術と比較して「安価」・「実質ゼロ・ダウンタイム(無停止)」・「改ざんが極めて困難」という特徴を持つとされている。

図 1 ブロックチェーンの概念

(出所)経済産業省「平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料」より引用

ブロックチェーンでは、取引の記録はネットワークの参加者によって共同で保有・相互検証されており、従来のシステムのように中央集権的な管理者が存在しない。このため、構築に多大なコストを要する中央集権的な取引システムが不要となり、かつ一部の参加者のシステムが停止しても他が稼働していれば処理が継続されるため、コストの抑制及びシステムの実質無停止が可能とされている。また、新規のブロックは過去の取引情報を保持した形で生成されるため、特定のデータを改ざんするためにはそれ以降のブロックを全て書き換えるという膨大な計算処理が要求されることから、改ざんが非常に困難とされている。
ブロックチェーンは、当初は仮想通貨やフィンテックと併せて語られることが多かったが、その技術的な有用性から、金融分野以外でも活用に向けた検討が進められている。・・・(続きは全文紹介をご覧ください。)

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