気候変動への適応を評価する~民間参画に向けた考え方と視点~

2020/06/16 矢野 雅人
サステナビリティ
気候変動
カーボンニュートラル

・気候変動の影響が年々深刻になっており、「適応」の必要性と重要性が高まっている。しかし、適応の取り組みは先進国政府からの拠出金に過度に依存している状況であり、長期的に見た場合、決して持続可能とはいえない。

・上記の課題に対処するためには、適応と民間セクターの親和性を高めてビジネス化を推し進め、民間セクターからの資金動員を促進する必要がある。

・ところが、気候変動緩和の取り組みが市場経済に深く浸透する一方で、適応ビジネス化の歩みは遅々としている。その要因として指摘されるのは、評価の難しさ、すなわち①統一的な単位の不在、②取り組みと効果の関係性の複雑さ、③効果発現までの期間の長さ、という適応の本来的な性質である。

・こうした課題を抱えながらも、国際的な援助機関や研究機関、金融機関などは適応の評価に果敢にチャレンジしている。完成された緩和分野の評価方法論には遠く及ばないものの、緩和とは異なる考え方を導入した方法論が提案され、着実に普及しつつある。

・今後も欧米を中心に適応の評価についてさまざまな試みが行われるだろう。適応に取り組む我々に求められるのは、先行する緩和型の評価方法論の考え方に引きずられ、その枠に閉じこもるのではなく、適応の性質が多分に考慮・反映された新たな方法論について学びを進め、民間セクターにとって扱いやすい方法論に徐々に改変していく姿勢である。適応についての理解を一層深めるとともに、取り組みを計画・実行し、それを適切に評価するスキルを養う必要がある。
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