令和3年度 成果連動型民間委託契約方式(PFS)に関する実態調査報告
2022/08/08 大塚 敬、中村 優花、渡辺 愛喜、細木 翼、小林 庸平、土方 孝将
地方創生
自治体経営
独自調査
官民協働
近年、行政運営の効率化と質の向上を図る新たな手法として「成果連動型民間委託契約方式」=「PFS(Pay For Success)」が、国の成長戦略にも掲げられるなど関心が高まっています。一方で、地方公共団体での導入は、徐々に実施事例が増えてきてはいるものの、全国で十分進んでいるとは言い難い状態にあります。
地方公共団体を取り巻く厳しい環境に対し、限られた資源の中で民間事業者のノウハウを活かして、成果の最大化を図るPFSやSIB(Social Impact Bond) について、その取り組み状況や地方公共団体の皆様のご関心、課題点などを明らかにすることは、PFS 活用に向けた施策・事業の展開やPFSの今後の可能性などについて検討するうえで重要であると考えられます。
そこで、三菱UFJリサーチ&コンサルティング自治体経営改革室では、全都道府県、市区町村を対象として、PFSの実態と課題に関する調査を実施致しました。
調査結果概要
■調査対象:全都道府県、全市町村、東京都特別区 計1,788団体
■回収数(率):723団体(40.4%)
■概要
- PFS・SIBの認知度について、約8割の団体が存在は認識しており、自治体内での認知度は高まってきている。
- 一方で、具体的な仕組みまで理解している団体は15.9%にとどまり、認知度は高まってきているが、内容の理解は十分には進んでいない。実際に、PFS・SIBを検討しない理由としては、「庁内全体でPFS・SIBに対する理解が進んでいないから」「PFS・SIBについて詳しく知らないから」が多く挙げられ、行政職員の間でPFS・SIBに対する理解がまだまだ進んでいないことが読み取れる。
- PFS・SIBを活用したい分野としては、「健康増進」「介護予防」がそれぞれ4~5割となっており、これまで事例が蓄積されてきた分野は活用意向も高い。一方で、これまで国内では実施事例の少ない「施設・インフラの維持管理」が46.1%、「公共交通の効率化」が26.4%と活用意向が高くなっている。
- 今後検討のPFS・SIB事業における期待として、PFS・SIBを導入することで、仕様に縛られない民間事業者のノウハウを活かした事業展開への期待や、効果の上昇への期待が大きいことが読み取れる。
- 一方、導入に向けて困難な点として、成果指標の設定や支払い条件に紐づく成果目標の水準設定が課題となっていることが多いことがうかがえる。また、PFS・SIBに対する理解不足や、従来の考え方とは異なることでの合意形成の難しさが課題となっている。
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