オンライングルーミングによる犯罪被害防止に大人ができること~SNSの利用に起因する子どもの犯罪被害は大きな社会課題に~
子どもを懐柔するグルーミング行為と“グルーミング罪”新設への動き
子どもの性犯罪等被害においては、加害を企図する者が子どもを懐柔し、信頼を勝ち取ったうえで、犯罪行為に及ぼうとする「グルーミング」が極めて重要なトリガーとなっている。
海外では、既にグルーミング行為に関連する法規制も行われているが、我が国においても、令和3年5月に法務省で初めてグルーミング行為の罰則化に関する議論が開始され、令和4年10月には、「性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪の新設」の試案が示された。
SNSに起因する子どもの犯罪被害者数は高い水準で推移
グルーミング行為のうち、本稿ではSNS等を通じて子どもを懐柔し、会う約束をしたり、性的な画像・映像等を要求したりする「オンライングルーミング」に着目する。
SNSに起因する子どもの犯罪被害者数は令和元年以降減少しているが依然として高い水準にあり、令和3年は1,812人となっている。被害はポピュラーなSNS上で多く認知されており、また、きっかけとなった最初の投稿は、被害者(子ども)によるものが7割程度、その投稿内容は、プロフィール、趣味、日常生活等である。援助交際募集や出会い目的等と異なり、直接的には犯罪被害に遭う可能性が想起しづらい投稿内容からも、子どもへの懐柔が始まるケースが見て取れる。
オンライングルーミングによる犯罪被害防止に大人ができること
グルーミングには、懐柔を受けている子どもが、相手との関係性を壊したくないという思いから断りづらかったり、相手を信頼しきっている場合、相手の要求に疑いを持てなかったりといった厄介な問題がある。また、とりわけ周りから見えづらいSNS上でのやりとりは問題が生じていても保護者や身近な大人が気付きにくい。
グルーミング罪の新設による抑止力効果が期待できる一方で、これに加えて、保護者や身近な大人による犯罪被害防止に向けた次の3点の対策が重要である。
- ① 見ず知らずのユーザーに接触の機会を与えない
- ② 閉鎖的なコミュニケーションの場に持ち込ませない
- ③ 親子で話し合い、いつでも相談できる関係性を築く、または相談できる先を教えておく
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