魅力ある高校づくり(高校魅力化)の卒業後の波及効果について~高校卒業後の若者に対するアンケート調査より~

2024/01/24 永野 恵
教育
学校
子ども

【要旨】

高校魅力化の卒業後の影響を分析するために、高校を卒業した若者に対するアンケート調査を実施

  • 本レポートは、高校在学中に魅力ある高校づくり(高校魅力化)に関わるさまざまな活動・体験をした若者の、卒業後の進路選択、資質・能力認識、地域(地元)に関する意識の在り方等を把握するため、インターネットモニター調査を行い、その結果を分析したものである。

本人の意志ある進路選択にポジティブな影響

  • 高校時代に「高校魅力化」に関わる豊かな学習活動・学習環境を経験した者は、卒業後の将来の見通し(「将来こういう風でありたい」を持っている、将来に向けて大切だと思うことを実行している)についてもポジティブな意識を持っていることが分かった。
  • 高校卒業後の進路選択に関して、進学先(大学等)の選択においては高校時代の経験に関わらず「学力が合っていること」が主要な判断材料となっているものの、就職先に関しては、高校時代に豊かな学習活動・学習環境を経験した者は、「社会的貢献ができる」「自分の関心のある社会課題解決に関われる」等を理由に選択する割合が高まることが分かった。

地方創生効果(地域への意識の高まり、関係人口の創出等)にポジティブな影響

  • 高校時代に豊かな学習活動・学習環境を経験した者は、「いずれは高校時代を過ごした地域で働きたい」「地元に帰らなくても何らかの形で貢献するような仕事をしたい」「地元に帰らなくても何らかの形で繋がり続けたい」といった地域への意識が高い他、「今住んでいる地域で、地域行事やボランティア活動等に参加している」と回答する割合も高く、現在住む地域における活動も活発である傾向があった。
  • また、高校時代に地域資源や地域の大人に触れる機会が多かった若者は、卒業後の帰省回数が多い他、地元に関する活動(ふるさと納税、地元の地域行事への参加等)も活発に行っており、卒業後も地元に愛着を持ち続けていることが伺えた。

本分析における留意点

  • 本分析における「地方創生効果」とは「地元に貢献する仕事への意識」や「地元に繋がり続けたいという意識」を指しており、実際のUJターン人口のインパクトについては分析できていない点には留意が必要である。
  • また、同様に「地方創生効果(地元への意識)」や「帰省回数」については地元と現在の居住地の近接性にも依存すると考えられ、この影響を排除するためには別途詳細のデータ分析が必要である。

続きは全文紹介をご覧ください。


※(2024年6月25日訂正)レポート中に以下の通り誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。

・P17 1段落目最後の一文
正:(下記を削除)
誤:なお、質問内容の性質から、回答者は現在地元を離れて暮らしている者に限定した。

・p17 2段落目の図
正:図表34
誤:図表31

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