空き地や耕作放棄地などの低未利用地が既に社会問題となって久しく、議論は建物の倒壊が隣接地に及ぶといった近隣問題、処分にかかわる法的課題、解決に至るまでの費用負担へと深化している。
一方、低未利用地として一般に定義されることはない林業だが、戦後の拡大造林を支えた分収林をめぐる問題をみると、在外地主の存在、共有林の処分の意思決定といったように低未利用地の諸課題と通底していることに気づく[ 1 ]。その林業では現在、拡大造林が更新期にあたり、その再造林の資金調達が課題となっている。特に人工林から広葉樹林等の天然林化をはかるという低収益地から非収益地への転換においては、いわば土地利用のデフォルト(債務放棄)化が課題になると捉えることができる。そこで本稿では、その資金調達について考えるヒントを、民間事業者の林業への投資が増加した1970~80年代後半の英国、1990年代のニュージーランドのパートナーシップ造林に求めた。この海外の2事例には税制が関係していたことから、わが国の林業の状況、山林所得の税制について概観した後、考察する。
[ 1 ] 泉 桂子,白石 則彦,岡 和夫,兼松 功次,二宮 隆史:「公社分収造林における「次世代の森づくり」に関わる実証的分析」、『林業経済研究』、53巻3号、pp.1-11 (2007)
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