公立高等学校における不断の改革・改善に向けて求められる「評価・診断」の在り方~公立高等学校設置者である教育委員会に対するアンケート結果より~

2024/05/28 阿部 剛志
教育
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評価

【要旨】

本レポートは、公立高等学校設置者である教育委員会が、高等学校における不断の改革・改善に向けて「評価・診断」に対して抱えている課題感や意向を把握し、効率的・効果的な「評価・診断」の要素を明らかにするため、教育委員会に対して実施した当社自主調査(アンケート)結果を報告するものである。

新時代に対応した高等学校教育における課題感

  • 都道府県では、「生徒数減少下における最適な学校統廃合の推進」の回答割合が最も高く、次いで「設置校の特色化・魅力化」「高等学校と関係機関とのコーディネート機能を担うコーディネーターの配置」の順に高い。
  • 一方、市町村では「設置校の特色化・魅力化の推進」の回答割合が最も高い。

「評価・診断データ」の利用の現状

  • 学校評価結果のほか、「入学に関する動向」「卒業に関する動向」という在校生の出入に係る動向は大半の教育委員会が全所管校から収集していると回答している一方で、「学力に関する動向(特に非認知能力の評価・診断結果)」という資質・能力面や「学級や学校の状態に関する調査結果」「卒業生に関する動向」は、ほとんどの教育委員会が収集していないと回答している。

「評価・診断データ」の活用意向

  • 「在学中の生徒の資質・能力・状態」に関する事項、「学校の特徴・状態」に関する事項、「学校運営体制の状態・効果」に関する事項の回答割合が高い。一方、「生徒の卒業後と在学中の経験や判断の関係」に関する事項は総じて回答割合が低い。
  • 「評価・診断データ」を活用したい場面としては、教育委員会内だけでなく、対高等学校、対財務部局、対審議会など、共に教育活動・行政を推進していく主体とのコミュニケーションにおいて「評価・診断データ」の必要性が認識されている。また、「評価・診断データ」の種類によって活用したい場面の違いがあることも確認された。

提言~求められる要素を満たす「評価・診断データ」が実装された高等学校教育行政の姿に向けて~

  • 「ウェルビーイングの実現」が地方自治の目標の1つとして設定されていく中では、「ウェルビーイング」に関する「診断・評価データ」を実装し、これを紐帯として教育委員会と首長部局(財務部局)が対話できるようになれば、現状よりも高等学校の特色化・魅力化に向けた新規施策・事業の予算獲得が進む可能性がある。

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