所有者不明土地管理制度・所有者不明建物管理制度の施行後1年間の活用状況を捉える②~官報公告の具体事例から見る当該制度の活用状況~

2024/10/25 石黒 隆子、鈴木 淳
所有者不明土地
土地利用
まちづくり

1.はじめに

相続登記がされないことなどを原因として発生する「所有者不明土地」が問題視されて久しい。国は、今後の高齢化の進展による死亡者数の増加等によって所有者不明土地問題が深刻化していくことが想定されることなどを理由として、令和3年4月21日「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)を定め、所有者不明土地の「発生予防」と「利用の円滑化」の両面から対策に取り組み始めている。

これまで所有者不明土地の管理や利活用の問題の解決にしばしば用いられてきた相続財産管理制度、不在者財産管理制度は、相続人や不在者等の財産全体の管理を対象にしてきた。一方で、民法の改正において新たに創設された所有者不明土地管理制度、所有者不明建物管理制度は、所有者不明の土地・建物を対象に、個々の土地・建物の管理に特化した制度である点に特徴を有しており、制度の活用が期待されている。両制度は、令和5年4月1日に施行され、令和5年度末時点で既に一定数の制度適用が見られており、新たな制度の活用が進んでいる状況が見受けられる。

「所有者不明土地管理制度・所有者不明建物管理制度の施行後1年間の活用状況を捉える①」では、1年間の申立件数を、申立人別や土地の地目別等で分析し傾向の把握を行った。本レポートにおいては、申立事例の中でも特徴的な事例について取り上げ、制度の適用範囲への期待、特に、変則的に登記されている土地への適用の実態について言及する。

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