令和6年能登半島地震における自治体間の支援体制に関する実態調査

2024/11/01 吉田 悠起、秋元 康男、高林 萌、米田 夏輝
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大規模災害発生時には、被災自治体だけでは物資やマンパワーが不足し、災害対応が進まないケースが多々生じる。そのため、1995年に発生した阪神・淡路大震災以降、全国知事会による相互応援協定等の自治体による支援体制が整備されてきた。2011年に発生した東日本大震災では、広域的な被害が生じたことから、関西広域連合が被災自治体と支援自治体とを割り振り、支援を行う対口(たいこう)支援[ 1 ]が行われた。2016年に発生した熊本地震では、関西広域連合や全国知事会、総務省等の連携による対口(たいこう)支援が行われ、近年の災害では自治体による支援の枠組みは一定の整備がなされていると言える。

2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震では、発災当初から全国の自治体が対口(たいこう)支援を含めた様々な支援を行っている。その一方で、組織間連携を含めた支援体制に関する課題が数多く指摘されている[ 2 ]。それらの実態を把握するため、石川県内自治体を除く全国の自治体に対してアンケート調査を実施し、調査結果を集計・分析した。そこで明らかとなった支援の実態や、支援に関する課題と今後について報告する。

<調査結果概要>

■調査対象:全国都道府県及び市町村(石川県及び石川県内市町村を除く) 計1,763自治体
■回収数(率):523自治体(29.7%)
■概要:

  • 令和6年能登半島地震の自治体からの支援では応援職員の派遣が多く行われていることが把握できた。
  • 応援職員は主に被害認定や避難所運営など災害対応業務の中で比較的人員が必要となる業務に従事していた。
  • 支援に関して事前に想定していたこととして、「特にない」が約半数であったが、過去の災害対応時の資料の整理や応援に適する人材のリストアップは約3割の自治体が行っていた。
  • 支援における課題として、「組織・人員・体制」が最も多く、被災自治体、応援自治体双方の職員の災害対応スキル不足や人員不足が大きな課題となっている。
  • 「組織・人員・体制」以外では、今回の地震で課題となった道路の寸断などの「インフラ」や断水といった「ライフライン」の課題も見られる。加えて、地理的条件から、「道路寸断による支援の遅れ」や「応援職員の宿泊先の不足」といったことも課題として挙げられている。

続きは全文紹介をご覧ください。


1 ]被災市区町村ごとに都道府県又は指定都市を原則として1対1で割り当てることにより、担当する都道府県又は指定都市(以下「対口支援団体」という。)を決定し、対口支援団体が基本的に自ら完結して応援職員を派遣することをいう。(総務省「応急対策職員派遣制度に関する要綱」https://www.soumu.go.jp/main_content/000973593.pdf (最終アクセス日 2024/10/30))
2 ]一般社団法人地域安全学会 2024年能登半島地震特別委員会(2024年5月)「自治体応援職員聞き取りプロジェクト(仮称):聞き取り結果(支援開始日1/2~2/14分)」https://isss.jp.net/isss-site/wp-content/uploads/2024/05/%E5%BF%9C%E6%8F%B4%E8%81%B7%E5%93%A1%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E6%A6%82%E8%A6%81.pdf(最終アクセス日2024/10/18)

執筆者

  • 吉田 悠起

    政策研究事業本部

    研究開発第1部(大阪) 地域環境防災グループ

    研究員

    吉田 悠起
  • 秋元 康男

    政策研究事業本部

    研究開発第1部(大阪) 地域環境防災グループ

    グループ長 主任研究員

    秋元 康男
  • 高林 萌

    政策研究事業本部

    研究開発第1部(大阪) 地域環境防災グループ

    研究員

    高林 萌
  • 米田 夏輝

    政策研究事業本部

    研究開発第1部(大阪) 人・まちづくりグループ

    研究員

    米田 夏輝
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