アニマルウェルフェア
アニマルウェルフェアとは、国際獣疫事務局(WOAH)の勧告において、「動物が生きて死ぬ状態に関連した、動物の身体的及び心的状態をいう」と定義されている。
欧州発祥とされているアニマルウェルフェアは、家畜が動物本来の行動を妨げられない方法で飼育されることを重視している。1960年代に英国で下記の「5つの自由」が基本原則として確立し、1990年代以降、EUを中心に各国の畜産生産者に対して改善が求められてきた。
(1)空腹と渇きからの自由(良好な栄養の提供)
(2)不快からの自由(良好な環境の提供)
(3)痛み・損傷・疾病からの自由(良好な健康の提供)
(4)恐怖と苦悩からの自由(精神的苦悩を与えない経験の提供)
(5)正常行動発現の自由(適切な行動の提供)
アニマルウェルフェアの改善はESG投資における評価指標の一つになっており、世界各国でアニマルウェルフェア改善に対する取り組みが進んでいる。特に欧米を中心とした企業活動が盛んに行われており、例えば米国では、スターバックスコーヒーやマクドナルドで取り扱う卵は、100%平飼い卵へ移行している。日本でも、味の素株式会社がアニマルウェルフェアに配慮した原材料の商品を提供する取り組みを行い、マルハニチロ株式会社が養殖魚の飼育改善を目的にした取り組みを推進するなど、アニマルウェルフェアの改善に向けた取り組みが徐々に広がりを見せている。