エコシステム

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ビジネスの文脈におけるエコシステムとは、「政府・教育機関・民間企業・金融機関・高度人材といった多様な主体が共生関係を築きながら、形成を図っていく何らかの経済圏」を指す。一般的には、持続的なイノベーション創出の観点で語られることが多い用語である。特に、スタートアップ企業を継続的に生み出すビジネス環境を「スタートアップ・エコシステム」と呼ぶ。

2019年には、内閣府がスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略を発表。以降、関係省庁と連携して国内のエコシステム強化策に取り組んでいる。
日本には、大学等の研究機関による基礎研究から生まれた革新的な技術や、研究をリードできる高度人材が豊富に存在する。一方で、量子コンピューターや3Dプリンター等、基礎研究では日本がリードしていた技術であっても、実用化において諸外国に後れを取ることが多い。
この課題は、国内のエコシステムの成熟が進んでいないためと考えられており、政府は「大型リスクマネーの不足」や「イノベーション人材の育成」といった政策を打ち出している。

海外のエコシステム形成地域として特に有名なのが、アメリカ・シリコンバレーである。連続起業家がメンターとなり、継続的にスタートアップが生み出される仕組みが定着している。また同国のボストンには、ライフサイエンス企業が集積。マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学といった研究機関がエコシステムに組み込まれている。

このほか、中国では製造業の集積地帯として成長してきた深センが、ITやものづくりといった領域でエコシステムを形成しており、注目を集めている。