Embedded Finance(エンベデッド・ファイナンス)

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Embedded Financeとは、エンドユーザーが自ら金融事業者にアクセスせずとも、普段利用している非金融事業者の提供するサービスから利用できる金融サービスのことを指す。非金融事業者の提供サービス内に、金融サービスを埋め込む/組み込むということから、日本語では「埋込型金融」や「組込型金融」と訳される。

近年、小売企業や自動車メーカー、通信サービス企業等、さまざまな企業が金融サービスに参入しており、これらの企業が提供しているものが、Embedded Financeである。具体的には、銀行や証券会社といった金融機関が、APIと呼ばれるインターフェースを通じて、非金融事業者に対して決済サービスや個人向けローンといった金融サービスを提供する。
Embedded Financeの提供を支えるキーワードは、「API」と「法整備」の2点である。
前述の通り、APIは金融サービス機能を提供するのに必要なインターフェースであるが、日本よりもAPI標準化の取り組みが進んでいるアメリカでは、Embedded Financeの提供や利用が進んでいる。
2点目の法整備も、Embedded Financeの普及に影響を与える要素である。たとえば、2018年6月の銀行法改正により、API環境整備の努力義務化が課されたことで、API活用の下地が整備された。また、2021年11月施行の金融サービス仲介に関する法律にて、銀行・保険・証券の各金融サービスのワンストップ提供に最適化された金融サービス仲介業が成立し、非金融事業者は金融サービス仲介業への登録のみで、複数の金融サービスを提供することが容易となった。

具体的なサービスとしては、Uberが挙げられる。本サービスでは、ユーザーが車を呼び出し、目的地まで移動するが、事前にクレジットカード等の支払方法を設定しておくことで、降車時にわざわざ支払・会計を行う必要がない。このように、非金融サービスを利用するなかで、あたかも自然に――気が付かないうちに、金融サービスが埋め込まれているものである。

また、金融事業者が非金融事業者に金融サービスを提供することをBaaSという。

(吉川 太清)