LCCM住宅(Life Cycle Carbon Minus住宅)
LCCMとは、Life Cycle Carbon Minusの頭文字を取った略語で、LCCM住宅とは、住宅の性能を評価する基準の一つであり、住宅のライフサイクル全体を通じて、二酸化炭素排出量の削減・創エネを行うことで、二酸化炭素排出量の実質マイナス化を目指す住宅を指す。
具体的には、住宅のライフサイクル全体——すなわち資源の採取や建材の製造、建設、居住中の使用、さらには解体・廃棄に至るまでに排出される二酸化炭素を最小限に抑えると同時に、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用してエネルギーを生み出すことで、最終的に二酸化炭素排出量を実質マイナスにする住宅を意味する。
LCCM住宅は、消費者居住期間のエネルギー収支のみに着目しているZEH(ゼッチ、net Zero Energy House)から、さらに二酸化炭素排出量の削減を進めた先導的な脱炭素化住宅である。2050年カーボンニュートラル達成を目指す日本政府の施策において、LCCM住宅が重要な役割を果たすとされており、環境負荷を抑えるための次世代型住宅として注目されている。
省エネルギー性能の向上や太陽光発電など再生可能エネルギーの活用に加え、建材や工法の工夫によってより長期的な炭素固定(二酸化炭素を吸収・固定する能力を有する建材の使用などにより、住宅に二酸化炭素を留めて大気中に放出しないよう固定すること)を実現している例も挙げられる。また、建物をより長期的に利用できるようにする長寿命建築や、住宅解体後に廃材リサイクルに活用しやすい建材の利用など、さまざまな工夫が取り入れられている。
2017年度には国土交通省の「LCCM住宅整備推進事業」が開始され、LCCM住宅の設計・建築において先進的な取り組みを行う事業者や団体に対して、補助金や技術的な支援を提供する仕組みが構築されている。また、経済産業省・国土交通省・環境省の3省連携事業でも、ZEHと同様にLCCM住宅も支援対象とされている。