ファブレス

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ファブレスとは、「Fabrication facility less」の略語であり、製造業において工場(Fabrication facility)を持たず(less)、自社で製品を作らないことを指す。

ファブレスのメリットには、(1)リソースの集中投下が可能、(2)事業展開の柔軟性が高い、(3)先端技術(製品)の迅速な提供が可能、などがある。

  • (1)リソースの集中投下が可能
    設備の設置・維持コストが低いため、人材育成・研究開発に注力可能。
    そのため限られたリソースで製品開発力をつけ、市場での競争力を高めることができる。
  • (2)事業展開の柔軟性が高い
    製造設備を持たないため、事業参入時の初期投資や撤退時のコストを削減できる。
    従って市場に素早く参入し、時流に沿った製品の生産が可能。
  • (3)先端技術(製品)の迅速な提供が可能
    工程ごとに製造委託先を変えられるため、ファブレスが主流の業界では製造工程の水平分業化が進む。
    そのため受託元は各工程担当会社のサポートと、商流のボトルネック除去に注力できる。
    従ってファブレス企業は、自社一貫で製造を行う企業よりも早く、製品を消費者に提供可能。

以上を踏まえ、現在ではNVIDIAなど、半導体製造を中心に多くの業界でファブレスの仕組みが採用されている。
また、乏しいリソースを開発に集中できるため、有形の自社製品を持つベンチャー企業との相性は良い。

一方で、製造ラインの課題発見が難しい、技術漏えいが生じやすい、などのデメリットも存在する。そのため、ファブレスの仕組みを採用する場合は、製造委託先の見極めを慎重に行う必要がある。

(髙橋 佑輔)