バリュープロポジションキャンバス

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「ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas、BMC)」開発者のひとりでもあるアレックス・オスターワルダーにより提唱された、顧客ニーズと自社製品・サービスとの関係を可視化するためのフレームワーク。VPC(Value Proposition Canvasの略)とも呼ばれる。

以下(1)~(4)の流れに沿って検討結果(仮説)を所定のテンプレートに整理することで、「顧客が持つニーズ」と「自社製品・サービスが提供する価値」のズレを明らかにし、これを埋めるために自社製品・サービスの改善策を検討していく。
加えて、顧客インタビュー等を通じて各仮説の精度を検証し、キャンバスのブラッシュアップを繰り返すことによって、自社の製品・サービスを、より市場に求められるものへと昇華させることができる。

  (1)ターゲット顧客(Customer Segment)の設定
    どのような顧客に製品・サービスを提供するかを決定する。
    なお、BtoBの場合もなるべく具体的にターゲットを設定するのが望ましい
(例:経営層、購買担当者)。

  (2)顧客ニーズの洗い出し
    以下の3要素 (a)~(c)ごとに考えつくものを書き出したうえで、顧客にとっての重要度を整理する。
    (a)顧客の課題(Customer Job(s))
     顧客がしたいこと、すべきこと、ありたい姿
    (b)顧客の利得(Gains)
    「(a)顧客の課題」にあたって、あると顧客が喜ぶこと
    (c)顧客の悩み(Pains)
    「(a)顧客の課題」にあたって、あると顧客が嫌がること

  (3)顧客ニーズに対応する提供価値の洗い出し
    以下の3要素 (d)~(f)ごとに考えつくものを書き出したうえで、顧客にとっての重要度を整理する。
   (d)製品・サービス(Products & Services)
     自社製品・サービスが提供する要素
   (e)顧客の利得をもたらすもの(Gain Creators)
     自社の製品・サービスが「(b)顧客の利得」を提供するための施策
   (f)顧客の悩みを取り除くもの(Pain Relievers)
     自社の製品・サービスが「(c)顧客の悩み」を解消するための施策

  (4)顧客への提供価値(Value Proposition)の設定
   (3)の検討結果を基に、自社製品・サービスの顧客に対する提供価値を端的に定義する。

「バリュープロポジション」にはさまざまな定義があるが、一般的には「自社独自の提供価値」、「顧客が自社製品・サービスを購入する理由」といった概念を含む。現代では多くの市場で製品・サービスの数が増え、「競合との差別化」がより重要となっているが、差別化にあたっては単に「競合と違っている」ことではなく、「(競合よりも)顧客ニーズに応えている」ことが肝要である。そこで、顧客ニーズを起点に最適な提供価値を考えるバリュープロポジションキャンバスが有用となる。
なお、バリュープロポジションキャンバスは、顧客セグメントと(独自の)価値提案を論理的に説明するものとして、「ビジネスモデルキャンバス(BMC)」や「リーンキャンバス(LC)」の検討にも組み込むことができる。