レアメタル

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レアメタルとは、経済産業省によると、「地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属」のうち、工業需要が現に存在する(今後見込まれる)ため、安定供給の確保が政策的に重要なものを指す。
代表例として、ニッケルやコバルト、リチウムなどが挙げられる。

EVモーターや蓄電池、太陽光パネルなどに使用され、脱炭素化やデジタル化に欠かせない資源である。しかし、レアメタルは中国や東南アジア、南米などの国や地域に偏在しており、日本は輸入に依存している。
また、これらの資源は、資源メジャー(資源の採掘・精製を行う国際的な巨大企業)や特定の少数企業によって寡占状態にあることも多い他、資源ナショナリズムや国家間の政治的対立など、産出国の事情による供給途絶や価格変動のリスクが大きい。特に、EVなどで需要増加が見込まれるニッケル、コバルト、リチウムは、新たな供給源の開発が進まないと供給不足に陥る可能性も指摘されている。

日本は重要鉱物の安定供給確保のため、2020年3月に新国際資源戦略を発表した。サプライチェーンの上流から最終製品に至るまで、鉱種ごとのサプライチェーン分析を行うことで、レアメタルを含む重要鉱物の供給不足に対する有効対策の検討が進められている。
また、海外資源確保や備蓄対策の他、レアメタルの回収・再利用の義務化に向けた法改正を目指すなど、政策面でも活発な動きがある。さらに、省資源・代替材料の開発、リサイクル推進など、サプライチェーン上のさまざまな業種での技術革新が求められており、産官学が連携した取り組みが進められている。