CX

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CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、Customer Experienceの頭文字を取った略称である。商品やサービスそのものだけでなく、顧客がサービスを購入するまでの過程や購入後のアフターフォローなど、自社商品・サービスに関する体験全体を指すものであり、「顧客体験」「顧客体験価値」とも呼ばれる。

CXには、商品やサービス自体が直接的に顧客に提供する体験だけではなく、その購入により顧客に非直接的にもたらされる体験も含まれる。商品自体の機能や価格、性能といった「合理的価値」に加え、購買体験を通じて得られる満足感や喜びなど、「感情的価値」まで含めた顧客へのアプローチがCXである。
CXを向上させることで、LTV(顧客生涯価値)の向上やリピーターの獲得、ブランドイメージの向上、既存顧客による宣伝効果など、さまざまなメリットが期待できる。

CXが重要視されるようになった背景の一つとして、顧客接点の増加・多様化がある。従来では店舗での購入、営業担当者などが顧客接点であったが、スマートフォンやインターネットが普及した現代では、ウェブサイトやSNS、アプリなど、新しい接点が増加している。顧客の購買行動は分散・複雑化しており、あらゆる顧客接点を改善・強化しCXを向上させることが、企業側には求められている。
また、CXが重要視されるもう一つの理由として、商品やサービスのコモディティ化(低付加価値品)が挙げられる。成熟した市場では、多数の類似商品の出現により差異化が図れなくなり、相対的な市場価値が低下する。合理的価値のみならず、感情的価値を訴求することで顧客受容価値を向上させ、競合他社との差異化を図ることが必要になる。

(久保 明日香)