水平分業

facebook x In

製品の開発に当たり、原料調達、技術開発、製造などの各工程を、異なる企業が担当するビジネスモデルを指す。対義語は「垂直統合」である。

水平分業のメリットとしては、設備投資の負担軽減、コアコンピタンスへの投資増大が可能な点が挙げられる。特に、巨額の投資が必要な半導体製造業界とは相性が良く、GPU製造大手のNVIDIA、携帯電話用チップ大手のQualcommなどに採用されている。これらの企業は工場を持たないファブレス企業であり、製造は受託製造専門の会社(ファウンドリ)に委託している。
一方で、サプライチェーンの管理が難しくなる、得意分野への集中投資を行うため一般的に市場ニーズの変化に対し脆弱である、などのデメリットも存在する。現在では、市場の動向を把握することで成功しているファブレス企業が目立つ。

水平分業の対義語である「垂直統合」は、製品の設計から出荷、サービスなどを全て1社で完結させるビジネスモデルである。内部でノウハウを蓄積しコアコンピタンスを確立できる、出荷までのスケジュール調整が容易、などのメリットがあり、一概に水平分業よりも劣っているとは言えない。特に、高いコアコンピタンスを維持したい企業では、垂直統合の方が適している可能性が高い。
従って、水平分業の導入に当たっては自社の強みを整理し、導入後も強みを維持できるか考え、慎重に判断を下す必要がある。

(髙橋 佑輔)