TNFD
Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの頭文字を取った略称で、日本語では「自然関連財務情報開示タスクフォース」と訳され、自然資本などに関する企業のリスク管理と開示の枠組みを構築するために設立された国際的組織を指す。
気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)に続く枠組みとして、2019年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で着想され、資金の流れをネイチャーポジティブに移行させるという観点で、自然関連リスクに関する情報開示フレームワークを構築することを目指している。
2022年3月にフレームワークの「v0.1」が、2023年9月に最終提言である「v1.0」が公開された。開示については「ガバナンス」・「戦略」・「リスクとインパクト管理」・「指標と目標」を四つの柱とし、14の開示推奨項目がある。
TNFD設立の背景には、世界の多くの経済活動が自然環境に大きく依存していることがある。環境問題については、既に経済や金融に与えるリスクが重大だと認識され、TCFDなど気候変動への対策が進められていたが、気候変動だけでなく、生物多様性の保全や再生も重視されてきている。
最終提言を受け、今後は企業によるTNFD提言に沿った開示が増えていくと予想される。また、TNFDはさらなるセクター別のガイダンスやシナリオ分析のガイダンスを構築することを示唆している。企業は自然・社会環境の変化に伴い、自社の情報・データの充実や取り組みを継続的に実施し、アップデートし続けることが求められていくだろう。
(能登 優)