株主総利回り(TSR)
投資家に対する総合的なリターン(値上がり益+配当金)を測定する指標を指す。TSRはTotal Shareholder Returnの頭文字を取った略称。
株式投資により得られた収益(キャピタルゲインと配当)を投資額(株価)で割った比率で表され、金融庁がまとめた「企業内容等の開示に関する内閣府令」において、計算式は下記のように定められている。
[(各事業年度末日の株価+当事業年度の4事業年度前から各事業年度までの1株当たり配当額の累計額)÷ 当事業年度の5事業年度前の末日の株価 ]
また、日本では、2019年3月期以降の有価証券報告書に、直近5年分を開示することが義務付けられている。
元々は、アメリカで注目されていた株価指標のひとつで、業績だけでなく株価を含めた経営の成果として、取締役の報酬額を決める際の重要な指標としても使われており、昨今では、日本でも株主価値の指標として注目されている。
一方で、株主総利回りを短期的に上昇させるには株主還元が有効であり、研究開発などの長期的な経営施策より、短期的な株価上昇への施策に経営資源が偏るリスクがあるとされている。
(能登 優)