人事のデジタル化に関する実態調査を実施 (デジタルHRサーベイ2022)日本企業におけるデジタルHRはコロナ禍前よりも進展
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:池田 雅一、以下MURC)と、株式会社SmartHR(本社:東京都港区、代表取締役CEO:芹澤 雅人)は、共同調査として「デジタルHRサーベイ2022」を実施しましたので、その結果を発表いたします。
2019年にMURCが単独で行った前回調査(https://www.murc.jp/library/report/cr_200131/ )では、日本企業における人事のデジタル化の実態を明らかにしました。今般、共同調査として行った本調査(以下、「今回調査」)では、コロナ禍前後でデジタルHRがどの程度加速したのかを把握するとともに、より一層効果的なデジタルHRの実現に向けた方策を考察しています。
調査結果概要
- デジタルHRの取り組み状況として、「人事業務の自動化」、「人事のデータ活用」、「タレントマネジメントシステムの活用」の3テーマすべてを実施している企業が約2割ある。前回調査に比べて約3倍に増加していることから、日本企業のデジタルHRは大きく進展していることが見受けられる。一方で、デジタルHRのいずれのテーマも実施していない企業が約3割ある。(図表1)
- 「人事業務の自動化」について、前回調査では自動化している企業が半数に満たなかったものの、今回調査では回答企業の半数以上で自動化されている。(図表2)また、直近3年間の業績が5%以上成長している企業では、「人事業務の自動化を実施しておらず、自動化に関する検討の予定もない企業」はほとんどない。(図表6)
- 「人事業務におけるデータ活用」について、前回調査では「検討の予定もない」と約1割の企業が回答していたものの、今回の調査では「検討の予定もない」と回答している企業はなくなった。(図表3)また、直近3年間の業績が10%以上成長している企業では、人事業務においてデータ活用を実施していない企業はほとんどない。(図表7)
- 「タレントマネジメントシステムの導入」について、「導入済み」と回答している企業が約4割あり、前回の調査よりも約2倍に増加している。(図表4)また、直近3年間の業績が10%以上成長している企業では、ほとんどの企業がタレントマネジメントシステムを導入している。(図表8)
- 人事課題について、前回調査と比べて「計画的な人材育成」に顕著な増加が認められる。また、今回調査で新設した人事課題の選択肢の中では、「人事戦略の策定」および「人的資本情報の測定・開示」が既存項目と比しても多く回答されており、これらは企業が抱える新たな人事課題のテーマとなっていることが見受けられる。(図表9)
●人事業務の自動化、人事のデータ活用、タレントマネジメントシステムの活用のすべてを実施している企業が約2割あり、前回調査に比べて約3倍に増えている。一方で、1テーマもデジタル化していない企業が約3割ある。
※デジタル化(人事業務の自動化、人事のデータ活用、タレントマネジメントシステムの活用)
●人事業務の自動化を「特定の領域」で実施している企業が大幅に増えており、今回の回答企業の半数以上で自動化されている。
●人事業務におけるデータ活用を「検討の予定もない」と回答している企業は無くなり、約半数の企業が少なくとも「特定の領域」でデータ活用を実施するようになっており、前回調査よりもデータ活用が進んでいると見受けられる。
●タレントマネジメントシステムを「導入済み」と回答している企業が約4割あり、前回調査に比べて約2倍に増えている。
●コロナ禍(直近3年間)の業績がマイナス成長の企業では、「計画的な人材育成」を課題と感じている企業が多い。
●コロナ禍(直近3年間)の業績が5%以上成長している企業では人事業務の自動化を「実施しておらず、検討の予定もない」企業は少ない。
●コロナ禍(直近3年間)の業績が10%以上成長している企業では、人事業務においてデータ活用を実施していない企業は少ない。
●業績傾向に関係なく、ほとんどの企業がタレントマネジメントシステムを導入、または導入検討をしている。コロナ禍(直近3年間)の業績が10%以上成長している企業では、ほとんどの企業がタレントマネジメントシステムを導入している。
●前回調査と比較して顕著な増加(10ポイント以上増加)が見られた(図表内赤枠)のは、「計画的な人材育成」「適切な代謝の促進」「理念の浸透/組織風土・文化の見直し」となっている。
●今回の調査で新設した選択肢(図表内赤字)の中では、「人事戦略の策定」および「人的資本情報の測定・開示」も多く回答されており、企業が新たな人事課題のテーマとして抱えていることが見受けられる。
調査概要
(1)調査主旨:
グローバル化やAI・RPA等のテクノロジーの急激な進展により、事業競争が激化、事業環境が加速度的に変化する現代において、企業が持続的に成長するためには、組織全体の生産性の向上や変化に対応し企業をリードする人材の確保が不可欠です。その実現のために、IT化による業務の効率化やデータを活用した最適配置、高業績者のリテンションなど「デジタル化した科学的な人事運営(デジタルHR)」が求められています。
しかしデジタルHRの必要性を認識していながらも、現場からの理解欠如や人事部のリソース不足などのさまざまな障壁があり、人事のデジタル化を推進しきれていない企業も多く存在します。
このような背景から2019年に実施した前回調査では、人事戦略そのものと、それに基づくタレントマネジメント、更にそれを支える人事制度と人事業務の効率化の課題感が強い一方で、デジタルHRへの取り組みを開始している企業は限定的であることがわかりました。
また、近年、人的資本情報の測定・開示の必要性が高まる中で、自社の人的資本情報をタイムリーに把握する仕組みが必要となり、人事のデジタル化は避けては通れない情勢となっています。
2回目となる本調査では、株式会社SmartHRと協働し、コロナ禍前後でデジタルHRがどの程度加速したのかを把握するとともに、より一層効果的なデジタルHRの実現に向けた方策を考察しました。
(2)調査方法:インターネットによるアンケート回答
(3)調査期間:2022年6月13日(月)~8月12日(金)
(4)調査対象:原則として、連結従業員数1,000名以上の企業
(5)回答企業:63社
(6)調査内容:
-人材マネジメント全般における課題
-人事の業務の自動化(RPA・AI導入など)における実態・課題
-人事のデータ活用における実態・課題
-タレントマネジメントシステムの導入・活用における実態・課題
-コロナ禍での人事課題に関する実態・課題
※ ご参考:デジタルHRサーベイ2019 https://www.murc.jp/library/report/cr_200131/
- 出所表記について
本資料内に掲載されている調査結果等の引用に際しては、必ず以下の出所を明記してください。
出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティングとSmartHRによる共同調査
各組織の概要
- 株式会社SmartHR
2013年1月23日設立。2015年11月にクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供開始。雇用契約、年末調整などの人事・労務業務のペーパーレス化や、従業員サーベイや分析レポートなど蓄積された情報を活用する人材マネジメントまで、多様な人事・労務の業務効率化を実現します。「SmartHR」は総務省が提供するe-Gov APIと連携しており、Web上から役所への申請も可能。煩雑で時間のかかる人事・労務管理から経営者、担当者、従業員を解放し、企業の生産性向上を後押ししています。
詳しくは、SmartHRのホームページをご覧ください。
https://smarthr.co.jp
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のシンクタンク・コンサルティングファームです。東京・名古屋・大阪を拠点に、国や地方自治体の政策に関する調査研究・提言、民間企業向けの各種コンサルティング、経営情報サービスの提供、企業人材の育成支援、マクロ経済に関する調査研究・提言など、幅広い事業を展開しています。MUFGの確かな基盤のもと、社会やお客様の課題と真摯に向き合い、真の課題解決に導く最適なソリューションを提供します。
詳しくは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのホームページをご覧ください。
https://www.murc.jp/
本件に関するお問い合わせ
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
コンサルティング事業本部 組織人事ビジネスユニット デジタルHRサーベイ2022事務局
担当: ディレクター 甲斐 順也
〒105-8501 東京都港区虎ノ門5-11-2オランダヒルズ森タワー
E-mail : hc_consulting_t@murc.jp
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コーポレート・コミュニケーション室 竹澤・廣瀬
E-mail : info@murc.jp