GRC(ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス)に関するサーベイ結果について企業価値向上の観点からみるガバナンス・リスク管理態勢の課題
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:池田 雅一)は、2022年8月に「GRC(ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス)に関するサーベイ」を実施しました。このほど調査結果を取りまとめましたのでお知らせいたします。
1.調査趣旨と結果概要
本サーベイは、コーポレートガバナンス・コードにおいて重視されているガバナンス態勢やリスク・コンプライアンス管理態勢の整備状況についての企業の取り組みを把握することを目的に実施している継続的なサーベイ(※)であり、日本企業のガバナンス態勢の推進及び見直し検討に活用します。
本サーベイのエクゼクティブサマリーについては、以下ページ内の「実績のご紹介>2022年度のサーベイ」よりご確認ください。なお、サーベイにご協力頂いた企業には、全体レポートを無料配布いたします。
GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)に関するサーベイ
2024年1月11日訂正 資料掲載先を修正いたしました。
(※)昨年度のサーベイ調査結果として、「コーポレートガバナンス/リスクマネジメントに関するサーベイ ~サステナビリティ時代を生き抜くガバナンス態勢構築は道半ば~」を発表しています。
(1)調査趣旨
ロシアによるウクライナへの侵攻を機に、貿易や決済制限等の経済制裁措置、エネルギー価格の高騰やインフレーション、為替の急激な変動など、日本企業はさまざまなリスクに直面しています。日本企業が継続的な企業価値の保全と創造を実現し続けるためには、足下のリスク対応を着実にこなすだけではなく、トップマネジメントの明確なコミットメントの下で、中長期的な視点を持ってリスク管理態勢を構築していくことが、ますます重要になっています。
また、企業価値向上という観点から日本国内でのガバナンス関連の動向に目を移すと、例えば、事業ポートフォリオ管理の導入・強化による適切な経営資源の配分や、「人材」を「資本」として捉え戦略的に投資を行う人的資本経営等の動きが顕著となっています。
今回実施したGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)サーベイでは、複雑化するリスクの適切な管理とガバナンス強化を通じた企業価値向上の観点から、調査結果を分析しました。
(2)調査結果のポイント
① 守りのガバナンス : 将来発生が見込まれるエマージングリスクの管理
VUCA[ⅰ]と呼ばれる環境下において、地政学リスクを始め、企業が検討すべきリスクはより複雑化しています。エマージングリスクとは、従来全く予期していなかったリスク、あるいはある程度予期していたものの、その頻度や重大さが予想を遥かに上回るリスクを指します。本サーベイの結果によると、実に4割超の企業において、エマージングリスクに対する検討が行われていないことがわかりました【図表1】。
[ⅰ] Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字
② 攻めのガバナンス : 将来の「稼ぐ力」となる事業ポートフォリオマネジメントと人材戦略
社会や環境問題に対応しつつ、自社の事業が持続的に成長し、企業価値を向上し続けるためには、取締役会の監督のもとで事業ポートフォリオマネジメントを実施することが重要となります。本サーベイ結果においては、45.9% の企業が事業ポートフォリオマネジメントを行っていないと回答しました【図表2】。
また最近では、人材に対して将来の企業価値創造の源として捉え、経営戦略と一体的な人材戦略を策定することが求められています。しかしながら、過半数の企業で、人材戦略の策定が行われていないことがわかりました【図表3】。
③ 情報開示 : サステナビリティ視点でのガバナンス情報の開示
サステナビリティを巡る課題や、人的資本に係る項目の情報開示を今後充実させる必要があると考えている企業が多く見られます【図表4】。
2.調査概要
調査対象 | 売上高500億円以上または東証プライム/スタンダード上場企業のうち約5,300社 |
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実施時期 | 2022年8月 |
調査手法 | 調査票郵送方式 ※調査票の発送および回収、データ入力作業については株式会社東京商工リサーチに委託 |
有効回収数 | 275社(5.17%) |
調査項目 | Ⅰ.ガバナンスについて Ⅱ.リスク管理/コンプライアンスについて Ⅲ.GRC(ガバナンス・リスク管理・コンプライアンス)インフラについて Ⅳ.GRC(ガバナンス・リスク管理・コンプライアンス)全般について Ⅴ.新市場区分について |
調査結果の表示方法 | ① 調査結果は百分比(%)で表示する。 ② 百分比(%)は端数処理の関係上、内訳の合計(100%)と一致しない場合がある。 ③ 複数回答可の設問については、集計対象企業総数に対する百分比(%)の合計が100%を超える場合がある。 |
エグゼクティブサマリー(詳細資料)のダウンロード
本サーベイのエクゼクティブサマリーについては、こちらのページよりダウンロードいただけます。
クレジット表記について
本調査結果の引用に際しては、必ず下記クレジットを明記してください。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「GRC(ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス)に関するサーベイ(2022年度)」
本件に関するお問い合わせ
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