魅力ある高校づくり(高校魅力化)の社会・経済効果に関する分析結果を公表
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:村林 聡)は、現在、人口減少が進む地域における担い手確保による地域活性化の方法として、また、これからの社会を担う資質・能力を持った若者を育成する場として、全国的に注目が高まっている「魅力ある高校づくり(高校魅力化)」に着目し、その効果等に関する分析レポートを3件公開いたしました。各レポートの要旨は次の通りです。尚、本件は、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームと共同で、MURCが実施したものです。
1. 高校の存続・統廃合が地域社会に及ぼす影響の一考察
~市町村の人口動態からみた高校存続・統廃合のインパクト~
全国の市町村の人口動態と高校統廃合の関係性について、過去に高校統廃合がなされた市町村と、高校統廃合がなされなかった市町村との比較により、考察を試みました。
【主な結果】
- 1990~2019年の約30年間で、1市町村に1つの公立高校が存在していた市町村の約2割において公立高校が消滅。
- 高校が消滅した市町村群の15-17歳人口の減少率(2000→2015年)は高校が存続した市町村群に比べ0.2~0.5%高く、その較差は年々拡大傾向。
- 統廃合により高校が消滅した市町村では、6年間で総人口の1%相当が転出超過。
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2. 島根県の高校魅力化の社会・経済効果の分析
~合成コントロール法を用いた地域政策の定量分析~
魅力ある高校づくりを全国に先駆けて行ってきた島根県内の高等学校を事例として、「合成コントロール法*1」を用いて、高校魅力化を行った当該地域と、高校魅力化を行わなかったと仮定した当該地域の比較から、高校魅力化の社会・経済的効果の推計を行いました。あわせて、合成コントロール法を用いない簡易な方法による推計も紹介しています。
【隠岐島前高校を事例とした分析による主な結果】
- 高校魅力化により地域の総人口は5%超増加(2017年)。
- 高校魅力化により地域の消費額は3億円程度増加(2017年)し、歳入も1.5億円程度の増加(同)。
- 高校魅力化に伴う町村の財政負担を加味しても、3,000~4,000万円程度のプラス効果。
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3. 「魅力ある高校づくり(高校魅力化)」をいかに評価するか
~「高校魅力化評価システム」の開発を事例として~
人口・経済への影響の見える化(前述1,2の調査)と同時に、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームと協働し、高校魅力化による高校生の成長や学習環境を評価する「高校魅力化評価システム」の開発、検証作業を進めています。また、2019年度からは、文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」における「PDCAサイクル構築のための調査研究」として、当該事業の指定校において、取り組みを評価するツールとして本システムが導入されています。
■高校魅力化評価システムの調査設計
- アンケートは生徒だけではなく大人にも実施。下記図表の5つを要素とし、魅力ある高校づくりによる、生徒の資質・能力、意識の変化を「見える化」する。
【図表】「高校魅力化評価システム」が調査対象とする5つの要素
- 生徒の資質・能力に関する調査項目は、「主体性」「協働性」「探究性」「社会性」の4つの視点を軸に構成。将来的には継続的なデータ取得により、生徒の変化を捉えられるようになることを志向している。
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*1 仮に当該地域が政策を行っていた場合にどうなっていたのかを、他地域のデータを合成することによって把握する手法。 合成コントロール法のメリットは、政策の対象地域が1つであったとしても効果検証が可能な点である。
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