【要旨】
■島根県における「魅力ある高校づくり(高校魅力化)」成果報告(2019年~2021年)
○ 本レポートでは、島根県における「高校魅力化評価システム」アンケートの3年間の結果の推移や、学習活動や学びの土壌が生徒の資質・能力に及ぼす影響について分析を行った。加えて、特に学びの土壌を豊かにする要因について、体制構築や人材配置といった島根県の高校魅力化の取り組みの関連分析によって検討を試みた。
■「学習活動」「学びの土壌」「能力認識」「行動実績」いずれも上昇傾向
○ 島根県の3年間の結果の推移をみると、「高校魅力化評価システム」の核となる4要素(学習活動・学びの土壌・能力認識・行動実績)について、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた項目以外、いずれも堅調に上昇傾向となった。
○ 特に、学習活動や学びの土壌といったインプット指標の充実だけではなく、生徒の能力認識や行動実績といったアウトプット指標においても伸びが見られたことは特筆でき、島根県の高校魅力化の成果が現れているといえる。
■「学習活動」や「学びの土壌」を豊かにすることが、生徒の資質・能力を高める
○ インプット指標である「学習活動」や「学びの土壌」が豊かな学校ほど、生徒の資質・能力(「能力認識」及び「行動実績」)を高めるという関係性が見られた。加えて、経年分析によって、「学習活動」や「学びの土壌」の豊かさが高まる(プラスに変化する)ほど、生徒の資質・能力も高まる(プラスに変化する)という分析結果も得られており、「一時点の調査で、学習活動や学びの土壌が豊かであった学校では、たまたま生徒の能力認識が高かった」のではなく、それらを高めていくことが、生徒の能力認識を伸ばすということが明らかとなった。
■「学びの土壌」を豊かにするには、体制構築や人材配置が有効
○ 人との関係性や機会、雰囲気といった目に見えないものの総体である「学びの土壌」を豊かにするために有効な要素とは何なのか、島根県において取り組まれる体制構築(コンソーシアム構築)や人材配置(コーディネーター等の配置)との関係性から分析を行った。
○ コンソーシアムを構築している学校や、教員以外のスタッフ(コーディネーター等)を配置している学校では、そうでない学校と比べ、学びの土壌が豊かである(生徒の学びの土壌に対する評価が良い)という結果が得られた。
○ また、コンソーシアムやコーディネーターは構築・配置するだけではなく、それを適切に機能させるマネジメント的機能・人材が存在していることが重要であるとの示唆も得られた。
【関連情報】
<2019年調査>
高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察
島根県の高校魅力化の社会・経済効果の分析
「魅力ある高校づくり(高校魅力化)」をいかに評価するか
<2022年調査>
高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察②
高校生の資質・能力を高める「学びの土壌」・・・本稿
学校での「高校魅力化評価システム」活用事例レポート
テーマ・タグから見つける
テーマを選択いただくと、該当するタグが表示され、レポート・コラムを絞り込むことができます。