ロボットビジネス支援に関する取り組み

ロボットビジネス支援とは

わが国は産業用ロボット分野において世界一と言われ、生産性向上等の観点からこれまでもロボットの活用が盛んに進められてきました。今後ロボットやロボットを活用したサービスは産業面に留まらず、わたしたちの暮らしを下支えするインフラとして、社会に新たな価値・豊かさを生み出すことが期待されています。

一方、ロボットを活用した社会を実現するためには、その提供価値を明確化し、それがもたらす魅力をユーザーに十分に認識させることが不可欠です。また、事業・サービスにロボットを活用しユーザーに価値を提供するためには、実効性・継続性の観点から関係者が連携してネットワークとして1つの事業・サービスを創り出していくことが求められます。

こうしたなかで、三菱UFJフィナンシャル・グループの総合シンクタンクである当社では、国内外の幅広いネットワークを生かし、「ロボット×サービス」の事業化に向けた多様なサービスを展開しております。ここでは当社の取組事例や産業の動向、論点などをわかりやすくご紹介していきます。

ご提供できる支援業務事例

  • メーカー向け
  • ユーザー向け
  • 官公庁向け

メーカーのロボット事業構築に向けたプロセスと当社の支援内容

ビジョン策定

社会動向や技術動向を踏まえ、企業・部門・製品のビジョンを策定

先端技術を活用した新規事業構築
  • 参入方針策定

    ロボット技術・製品を使い参入が見込める市場・事業を特定

  • パートナー選定・事業案具体化

    必要に応じパートナーを選定した上で、詳細な事業案を検討

  • 事業実施

    パートナー企業との協業や事業案の実行をサポート

【事例1】長期の環境変化を踏まえた成長戦略構築

ビジョン策定

先端技術を活用した新規事業構築
  • 参入方針策定

  • パートナー選定・事業案具体化

  • 事業実施

メーカーの抱える課題
20年先の‘‘シンギュラリティ’’時代を見据えた戦略策定

大手メーカーは、社会や技術の長期的変化を見通した成長戦略策定が必要であったが、自社の知見のみではシンギュラリティ発現などの技術進化、及びそれに伴う社会変化予測が難しく、専門的な知識・分析が不足していた

また、長期的な技術変化・社会生活者変化を踏まえての当該企業らしい視点での取組領域の定義にも苦悩していた

提供ソリューション
コンサル・研究員・エコノミスト一体となり、技術開発ロードマップを立案

当プロジェクトでは、社会変化を予測可能な調査部門のエコノミスト、技術変化を予測可能なシンクタンク部門の研究員を混合した異能集団でチームを編成。技術・社会両面での長期的な変化予測に関する分析情報を収集した上で、クライアントの方針・価値観に照らし合わせ、「企業が実現すべき世界観」および、それに伴う技術開発ロードマップを立案

当社が作成した技術開発ロードマップやビジョンの具体化に向けて、有望な若手社員を中心として開催されたワークショップに対してもアドバイザーとして参画することで、単なる戦略立案にとどまらない伴走型の支援を実施。ロードマップを踏まえて、研究員・コンサルタントが連携した有望技術の標準化等も構想

【事例2】世界初となるロボットでのビジネス構築

ビジョン策定

先端技術を活用した新規事業構築
  • 参入方針策定

  • パートナー選定・事業案具体化

  • 事業実施

メーカーの抱える課題
新ロボットでの市場創出・参入

世界中を見渡しても類似製品がなく全く新しいロボットの開発を行うメーカーが、そもそもニーズがどの程度あるか、どの程度の市場を創造することが可能か、ビジネスとして成り立つかの把握に苦心していた

また、ロボットの導入先にどのようなメリットの提供、デメリットの解消を訴求するかの検討が進んでいなかった

提供ソリューション
単なる業務代替にとどまらない、「ロボットならでは」の価値訴求による参入

当社では当プロジェクト開始前より、導入先でのロボットによる既存業務の代替では導入費用を上回る価値提供は困難であると見立てており、コスト削減だけでなく売上高向上にも寄与することが必須だと考え、プロジェクトでの調査設計を行った

当社が毎月主催しているロボティクス研究会でメーカー、ユーザー、SIer、行政それぞれの最先端のロボットビジネスにおける知見を収集。また各プレーヤーと複数回に渡る議論を行って、コスト削減・売上高向上の両面で新ロボットの提供価値を定義し、費用対効果に見合う事業案を構築

【事例3】ロボットの新たな提供価値の検討

ビジョン策定

先端技術を活用した新規事業構築
  • 参入方針策定

  • パートナー選定・事業案具体化

  • 事業実施

メーカーの抱える課題
既存の枠を超えた用途へのロボット展開

従来用途でのロボットの市場競争が激化したため、あるメーカーは拡大余地の大きい周辺領域への市場参入・技術転用を目指したが、既存製品では元々の強みであった品質面での他社製品との差異化が難しく、市場参入は困難と感じていた

そこでロボットとIoTを連携させることで製品に新たな機能・価値を追加して差異化を行いたいと考えたが、具体的なユーザー像やそのニーズ、訴求ポイントが不明瞭な状況であった

提供ソリューション
オープンイノベーションを活用した用途開拓

当社ではプロジェクト開始に当たり、ロボットの従来用途に追加機能を装備するだけでは高い品質が求められる転用先市場への参入が難しいと推測

ユーザーヒアリングや先行事例調査を行うだけでなく、当社のオープンイノベーション推進チームとの協力により集めたベンチャー企業人材等とのアイデアソン・ハッカソンも実施。広く事業案や技術を募集するオープンイノベーションによって新たな視点を得た事業案を創出した

【事例4】パートナーとのコラボレーションによる戦略の実行

ビジョン策定

先端技術を活用した新規事業構築
  • 参入方針策定

  • パートナー選定・事業案具体化

  • 事業実施

メーカーの抱える課題
高価なロボットの営業が進まない

あるメーカーは、ロボットの販売を開始したが想定よりも導入が進まない状況であった。多くのユーザー獲得につなげられるだけの製品力に自信があった技術部門とは裏腹に、営業部門では担当者が導入候補施設に門前払いされることが多く、それぞれ課題認識が異なり状況の改善が難しかった

提供ソリューション
ユーザーの意思決定を解明し、パートナーを巻き込んだスキームを構築

導入候補施設の導入決定構造を紐解く中で、施設(経営者)への単独での営業提案だけでは導入決定が困難なことが判明。施設経営者から運営を受託している補完事業者との協業による営業提案が必要だと結論付け、補完事業者数社と協業可能性について討議する会を設定し、うち1社をパートナーとして選定することが決定

ロボットメーカーは営業負荷が軽減され、パートナーはコスト削減・人手不足対応等のメリットを享受する、という各社にとって、Win-Winの関係性によるロボット導入拡大のスキームの策定・構築まで伴走し、ご支援を行った

【事例】ロボット等での新ビジネスの創出

ユーザーの抱える課題
ロボット・loTを活用した新たなサービスの具体化

ある事業者では、ビジネス差異化のため、業界では先進的なロボット・IoTを絡めたサービスの創出を目指し、現場からビジネスアイディアを募った

しかし、技術的な知見が乏しいためロボット・IoTに関する提案が少なく、またターゲットのみ、サービス内容のみといった“点”でのアイディアが多数寄せられたため、それらを整理し初期事業案(だれに、どのような、どうやって)まで昇華させる必要があった

提供ソリューション
散漫なアイディアを統合して構築した事業案と先進技術の組み合わせを検討

当社は、クライアント内にロボット・IoTの知見が乏しいという状況を踏まえ、ロボット・IoT技術の活用に関わらず自社の強みを活かした新事業案を明確化した上で、活用可能な先進技術を探るといったプロセスが最良と判断。まず現場からの様々なアイディアを整理し、「だれに」「どのようなサービスを」「どうやって」提供するかという複数の事業案を具体化した

その上で、各事業案においてどのような技術(ロボットやIoT、AI)が活用可能かを特定してサービス内容を詳細に検討し、ビジネスプランを策定した。その後、各々の魅力度を市場規模等の観点で評価し、取り組むべき事業案の優先付けをおこなった

国・地方自治体などの政策立案・執行に対する当社の支援内容

計画・戦略策定

社会動向や技術動向を踏まえ、産業振興計画等のビジョンを策定

先端技術を核とした産業振興
  • 研究開発、産学連携

    国内外の研究開発動向に関する調査、研究成果の実用化に向けた産学連携等の支援

  • 企業立地・誘致・連携

    企業誘致に向けた地域の強み・機会の明確化、域内企業のパートナー選定・連携支援

  • 効果検証

    地域・社会に生じた実用化・産業化効果の測定

【事例1】マクロ環境や地域の産業構造を踏まえた計画・戦略策定

計画・戦略策定

先端技術を核とした産業振興
  • 研究開発、産学連携

  • 企業立地・誘致・連携

  • 効果検証

官公庁の抱える課題
長期的な社会・技術変化に合った産業振興計画、技術戦略の策定

所管省庁/所管部局として、これまでも経済産業の発展に向けた成長戦略、特定業種・技術に関する振興計画を策定してきた。しかし、ロボティクスをはじめ、IoT、人工知能などの新たな技術の台頭やそれによる社会の変化を予測し、望ましい社会・経済の発展に向けたロードマップを描くためには、これまで以上に高度で専門的な知識・分析が必要

提供ソリューション
高い専門性を活かした将来予測と外部有識者ネットワークを使った計画・戦略等の立案

地域の産業構造や社会課題を分析し、他地域に対し優位性を誇る企業集積(リソース)や、域内でIoT等の新技術による解決が期待される社会課題などの論点を整理。その上で、地域の産業・社会特性を踏まえた新産業創出のロードマップの具体化や計画・戦略の策定を支援

IoT/ビッグデータ/人工知能などの技術革新や企業活動・ビジネスモデルの変化を踏まえ、産業構造や社会システムの変遷にあわせた新たな法制度に関する論点整理を行うとともに、我が国産業の成長・発展に向けた計画・戦略等の立案を支援

人口動態をはじめとした社会変化に加え、国内外の研究開発の動向を調査。また、様々な機関が作成している未来社会のシナリオなどを踏まえ、「非連続な未来の社会像」と「現在進行形で進められている技術の社会実装」との間にある距離を埋めるための方策について、各分野の有識者とともに論点を洗い出し、計画・戦略の重点事業などの具体化を支援

【事例2】研究開発、成果の実用化推進

計画・戦略策定

先端技術を核とした産業振興
  • 研究開発、産学連携

  • 企業立地・誘致・連携

  • 効果検証

官公庁の抱える課題
注力すべき研究開発の領域の特定、研究成果の実用化

高度な研究を行う大学や研究機関はあるものの、今後、短期的な産学連携による研究成果の実用化、中期的な新産業創出を図るためには、どのような領域の研究開発に予算を充てるべきか方針を定めることが難しい

産学連携の推進のため様々な施策を実施しているが、民間企業との連携や研究成果の実用化は進んでいない

提供ソリューション
差異化や実用化を見据えた研究開発の伴走

国内外の研究機関における研究開発動向(例:研究テーマの設定、予算等の資源配分)、関連領域の査読論文や特許出願の動向などに関する調査を行うことで、今後、国・地方自治体が重点支援を行うべき領域等に関する検討を支援

研究成果(シーズ)の実用化に向け、まずはニーズを有する主体とのマッチングを図るため、ユーザー像や訴求ポイントを意識しながら研究成果の独自性や価値を明確化。その上で、当該シーズに関心を寄せるであろう企業等を選定し、事業化に向けたマッチング機会を提供

【事例3】企業立地・誘致や企業間連携

計画・戦略策定

先端技術を核とした産業振興
  • 研究開発、産学連携

  • 企業立地・誘致・連携

  • 効果検証

官公庁の抱える課題
域内への企業立地、企業間の連携の加速

ロボティクスをはじめ、IoTや人工知能などの新たな技術が台頭しつつあるが、域内には新産業の担い手となる企業が少なく、ベンチャー企業の誘致を含め立地集積が進んでいない

新産業の創出に向け、域内に立地する企業と新たな技術を有する域外のベンチャー企業等との連携を支援しているが、企業間のマッチング事業の成果が挙がっていない

提供ソリューション
産業構造を踏まえたパートナー企業の選定、連携

地域の産業構造や既存の立地集積【強み】に関する調査分析及び調査結果に基づく事業環境のPR、また、新たな技術の社会実証の場の提供【機会】のための事業支援などを通じて、企業の関心を喚起し立地集積の促進を支援

域内企業との連携の形(例:技術分野、生産・加工などのプロセス)を明確化した上で、相互に機能補完が可能なパートナー企業を選定し、域外のベンチャー企業や大企業との連携機会を提供。その後、連携プロジェクトに関する事業計画案などを策定し、プロジェクトの推進を支援

【事例4】政策・事業の実施効果測定

計画・戦略策定

先端技術を核とした産業振興
  • 研究開発、産学連携

  • 企業立地・誘致・連携

  • 効果検証

官公庁の抱える課題
政策・事業の実施効果を明らかにし、広報活動(PR)に活用

過去数年間、新産業創出に向けた支援を実施し、所管部局では様々な効果が生まれていると実感している。しかし、現行計画の改訂を見据え、政策・事業の実施効果を体系的に明らかにしたい

新たな技術を取り入れたサービス等の社会普及を進めているが、都市・地域を単位に、どのような効果・メリットが生じるのか明示的に説明することは難しい。今後、技術を基軸とした都市インフラの海外輸出などを進めていくにあたり、「新技術×都市」の価値を示す指標を設定(指標化)し、優位性(セールスポイント)を分かりやすく発信するための情報を取りまとめたい

提供ソリューション
産業面・社会面に生じた様々な効果の測定、次期計画に向けた論点整理

ロボティクスをはじめ、IoTや人工知能などの新たな技術を活かした新産業創出に係る産業振興策の実施効果として、経済波及効果や雇用創出効果、企業間の取引に生じた効果の分析に加え、各サービスの対象ユーザーの便益測定(例:地域住民の生活利便性の向上の定量把握)など、産業面、社会面に生じた様々な効果を定性的・定量的に把握。その上で、現行計画の評価(PDCA)や次期計画に向けた課題・論点の整理を実施

特区をはじめとする社会実証事業では、その成果を検証するだけでなく、新たな事業・サービスパッケージの価値を明示的に示すこと(”見える化”すること)が求められている。そのため、当該サービスやインフラ等の価値を表す新たな指標を設定し、他都市・地域との比較を通じて、優位性(セールスポイント)の明確化や他都市との差異化を図るための枠組み・ロジックを構築