DXに取り残されないために~全社的なデジタル化推進のアプローチ~

2025/01/17 石川 恵太郎
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DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは幅広く、各所でデジタル化を進めるうちに各施策のつながりが見えにくくなり、全社視点が抜け落ちてしまいがちです。例えばIT基盤の整備に力を入れるあまり、そもそも業務をどのように変革すべきか、何を目指すかが希薄になってしまうことがあります。一方で「DXの本質はX(ビジネスや業務の変革)」というのは確かですが、D(デジタル技術)の理解が不足していることもあります。このコラムでは、DXの全体感を理解することに焦点を当てています。

DXの全体感と観点

本コラムではDXの全体感を、DXの目的である「業務やビジネスの変革」、それを実現するための「アプローチ」、そしてそれらの実現に必要な「基盤」という3つの階層で整理しています(下図)。変革する業務・ビジネスを見据え、必要なアプローチを策定し、必要な基盤を整備する、という3つの階層の全てを意識して検討することで、DXの施策をより現実的なものとします。

【図表1】DXの全体感と3つの階層

DX実現の3階層 当社事例・サービスなど(一部抜粋)
業務やビジネスの変革 変革すべきポイントを見つける
デジタル診断
業務やビジネスを変革する
BtoB企業におけるEC活用
EC事業の構築支援
サプライチェーンDX
変革のアプローチ 変革をデザインする
サービスデザイン
第一歩を踏み出したい企業との伴走型アプローチ
デジタルツールを活用する
ローコード/ノーコードツールを用いた業務改善
生成AI/LLM活用・導入
データを活用する
データ利活用の企画・検討
データ利活用による業務改善・改革
変革に必要な基盤 ITシステムや業務プロセスを整備する
レガシーシステム脱却の進め方
DX人材・組織を育てる
DX研修の企画検討手法
DX人材育成
実務型DX研修支援
データを整備する
就労支援データワークプラットフォーム
(出所)当社作成(表中のリンク先も全て当社の公表物)

DXの目的である変革の対象は企業によって異なります。例えば流通・小売業では、ECの活用やサプライチェーン全体の見直しが考えられます。変革のポイントが明確になっている企業がある一方で、DXの着手自体ができていなかったり、停滞していたりする企業も少なくありません。その理由として、DX推進目標やアクションプランが明確でないため、どの部分から変革を始めればよいか分からないことが挙げられます。そのような場合には、最初に全社的に課題を診断することが重要です。
また、DXの推進には、業務・ビジネスにおける現状の課題を踏まえつつ、どのような変革を目指すのか、ゴールとする業務・ビジネス、そしてサービスの形をデザインするアプローチも必要です。加えて、ノーコード・ローコード、データ利活用、生成AIなどの具体的な技術を活用する企画・計画を策定し、変革する業務・ビジネスにおける適用を推進することも求められます。
これらを実現するためには、ITシステムや業務プロセス、人材・組織などの基盤を整えることが不可欠です。なお、特にデータの活用に向けては、社内にデータが散在していたり、活用したい情報が適切にデータ化されていなかったりすることが多いので、その整備・改善のための組織・体制も整えることが重要です。

DXの施策を現実的なものとするために

DXの取り組みは幅広く、各所でデジタル化を進めるうちに各施策のつながりが見えにくくなり、全社視点が抜け落ちてしまいがちです。例えば、業務やビジネスの変革を考慮せずに、ツールの知識だけを持つ「DX人材」を育成しても、企業への貢献は限定的です。変革する業務・ビジネスを見据え、必要なアプローチを策定し、それに必要な基盤を整備する、という図表1で示す3つの階層を意識して検討することで、DXの施策をより現実的なものとします。
なお、図表1の構成要素は、当社の事例やサービスを紹介するリンクとなっております。紙面の都合上、掲載は一部の事例やサービスにとどまっておりますが、当社ではDXに関する個々の施策・論点に閉じず、さまざまな施策・論点をつなげつつご支援するケイパビリティを有しております。詳細にご関心のある方はリンク先をご参照ください。また、図表1にない事例やアプローチ、さらに詳しい内容などにご関心があれば、お気軽に当社にお問い合わせください。

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