2024年夏期 東海3県主要集客施設・集客実態調査~ノロノロ台風10号による休業・人々の出控えが影響し半数超の施設で前年割れ 常態化する猛暑は特に屋外型施設に打撃~
本調査では、東海3県(愛知県、岐阜県、三重県)の主な集客施設における2024年夏期(24年7月21日~8月31日の42日間)の集客実態を把握するため、各施設を対象にアンケート調査を実施した(24年9月~10月)。89施設中77施設から回答を得た。
【結果概要[ 1 ]】
旅行需要の回復で集客が期待されるも、半数超の施設で前年割れ。
猛暑に加え、ノロノロ台風10号、南海トラフ地震臨時情報の発表も影響。
国内旅行需要は、新型コロナの5類感染症移行(23年5月)等を受けて堅調な回復を見せており、24年も引き続き回復傾向にある。このような中、本調査が調査対象とする集客施設の24年夏期の集客数も前年を上回る集客が期待された。しかしながら、23年夏期の集客数と比較すると、74施設中、39施設(52.7%)で減少、35施設(47.3%)で増加となり、対前年比で減少した施設数が増加した施設数を上回った。【図表3-1】
今夏は名古屋市で猛暑日の連続日数が統計開始以来最長となるなど前年に引き続き厳しい暑さとなり、約7割(66.7%)の施設が「猛暑」は集客に悪影響となったと回答した。猛暑は、23年の調査結果でも、約7割(68.0%)の施設が集客に悪影響をもたらしたと回答しており、近年の猛暑への対策は恒常的な課題となっている。【図表4-1】
また、今夏は繁忙期であるお盆期間中の天候は良好だったものの、8月下旬は台風の接近により悪天候が続いた。9割強(93.3%)の施設が「台風7号・10号の接近(交通機関の運休による影響も含む)」は集客に悪影響となったと回答し、「猛暑」による悪影響の割合を上回った。特に、“ノロノロ台風”となった台風10号の影響で雨が長引いたほか、施設の臨時休業や公共交通機関の計画運休なども実施され、出控えにつながったと考えられる。【図表4-1】
さらに、約7割(66.2%)の施設が「南海トラフ地震臨時情報の発表(24年8月8日)」が集客に悪影響をもたらしたと回答しており、津波への警戒が特に必要となる海水浴場では遊泳禁止などの措置がとられました。【図表4-1】
猛暑・台風は特に屋外型施設で悪影響となり、屋内型施設では約7割が対前年比増も、
屋外型施設では約7割が前年割れ。
対前年比で増加した施設の割合を施設種別で見ると、屋内型施設では72.2%を占める一方、屋外型施設では29.4%、屋内・屋外複合型施設では43.6%にとどまった。特に屋外型施設では、記録的な猛暑や、8月下旬に接近・停滞したノロノロ台風10号による出控えが悪影響となった。【図表3-1】
各施設の集客数の状況 【図表1-1、1-2】
- 集客数は、「ナガシマリゾート」(三重県桑名市)の約230万人が18年連続トップ。次いで「中部国際空港セントレア」(愛知県常滑市)が約101万人、「刈谷ハイウェイオアシス」(愛知県刈谷市)が約94万人、「河川環境楽園」(岐阜県各務原市)が約87万人、「バンテリンドームナゴヤ」(愛知県名古屋市)が約68万人と続いた。
- 上記の集客数上位5施設の中では、「中部国際空港セントレア」(愛知県常滑市)が対23年比25.0%増と特に伸び率が高かった。航空旅客数の回復[ 2 ]に伴う送迎利用客数の増加も伸びを後押ししたと思われる。
対前年比増加率上位施設の動向【図表2-1、2-2】
- 増加率1位(182.1%増)の「愛知県国際展示場 Aichi Sky Expo」(愛知県常滑市)は、前年同時期と比較して催事開催件数および延べ日数が増加し、大幅増となった。催事開催数の増加は、日本ガイシホールを含む名古屋市総合体育館(日本ガイシスポーツプラザ)が改修工事に伴い休館していることにより、イベントやコンサート等の代替会場となったことも影響したと思われる。
- 増加率2位(52.6%増)の「岐阜県百年公園」(岐阜県関市)は、園内にある「岐阜県博物館」において、特別展「ポケモン化石博物館」が開催されたことが集客増をもたらした。“ポケモン”関連では、増加率4位(42.5%増)の「志摩スペイン村」(三重県志摩市)は、ポケットモンスターとコラボレーションした期間限定イベント「『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』 ポケモン課外授業 in 志摩スペイン村」の開催が奏功し、集客数増となった。
- 増加率3位(50.2%増)の「日本中央競馬会 中京競馬場」(愛知県豊明市)は、期間中の中京競馬開催日数が増えたことが集客数増の要因となった(23年夏期は2日、24年は7日)。
来訪者の動向 【図表4-1、5-1】
- 客層ごとの増減の変化を見ると、前年と比較して「増加」したと回答した施設の割合が最も多い層は、「訪日外国人旅行者」(46.5%)であり、次いで「新規客」(44.7%)、「在留外国人(就労者、留学生等)」(44.4%)、「夕方・夜間の来訪者」(41.9%)が多い。
- 集客数への影響要因を問う設問で約3割(33.3%)の施設が「訪日外国人旅行者の増加」は集客に好影響をもたらしたと回答しており、「飛騨の里」(岐阜県高山市)や「トヨタ産業技術記念館」(愛知県名古屋市)、「名古屋城」(愛知県名古屋市)等で顕著である。
- 「夕方・夜間の来訪者」の増加からは、猛暑の影響で日中を避けて行動する様子が見てとれる他、比較的涼しい夕方以降に楽しみたいというニーズに応えるため、夜間営業日数を増やす、夜間営業時のイベント・エリアを充実させる等、夜間営業の拡充を図った施設による取り組みが奏功したことも見てとれる。
[ 1 ]小数点以下第2位を四捨五入した数値を記載しているため、項目別の合計が100%とならない場合がある。
[ 2 ]24年7月~8月の航空旅客数(通過客を除く)は、対23年比22.7%増。(出所:中部国際空港セントレア「利用実績」より算出)なお、航空旅客数は本調査では「中部国際空港セントレア」の集客数の集計対象外である。
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