概要
農業・農村は、私たちの生存に不可欠な食料生産の場としての役割を果たしていますが、それだけではありません。農村で農業が継続して行われることにより、洪水や土砂崩れの防止、多様な生きものの保全、美しい農村風景の維持など、私たちの生活にさまざまな価値をもたらしています。こうした価値を、農業・農村の「多面的機能」と呼んでいます。
しかし、農業・農村と自然環境は相互に強く関連しているため、農業生産が自然環境に負の影響を与えてしまう場合もあれば、気候や周辺生態系から農業生産が大きな影響を受ける場合もあります。こうした中で、農業・農村がもたらすさまざまな価値を持続的に発揮させるために、環境と調和した農業・農村を実現することが求められています。
当社の強み
当社は、農業と環境をとりまく諸課題の解決に貢献するため、環境保全型農業、みどりの食料システム戦略、農業農村の多面的機能、グリーンインフラ等をはじめとする農業・農村における環境関連政策について、調査研究、政策・制度の設計・実行・評価などに取り組んでいます。
環境保全型農業
生物多様性の保全やカーボンニュートラルに向けた各国の動きを背景に、農業生産に求められる役割も変化しています。昨今、EUでは「Farm to Fork戦略」(農場から食卓まで戦略)が、日本では「みどりの食料システム戦略」がそれぞれ策定され、生産から消費に至るフードシステムを環境に配慮したものとすることが掲げられています。中でも、有機農業の農地面積を25%とする野心的な目標が設定されており、これを実現するためには、今後様々な変革が求められると考えられます。
当社は、農業生産者・流通加工業者・農業資材関連業者・消費者・政策立案者それぞれの立場から、望ましい農業環境政策のあり方について、調査研究等に取り組んでいます。
グリーンインフラ
グリーンインフラは、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、課題解決に活用しようとする考え方です。例えば、自然災害の防止、美しい生活空間や景観の形成、環境と経済の好循環に資するまちづくり等への活用が期待されています。
もともとグリーンインフラは海外で生まれた用語ですが、日本では、国土形成の歴史の中でため池や水路、水田、住宅、里山といった社会資本整備を蓄積・管理してきたことから、農業や農村そのものがグリーンインフラとして機能してきたといえます。
当社は、特に農村におけるグリーンインフラがもたらす生態系サービスの評価や現状の課題、今後求められる農村グリーンインフラ整備の方向性に関連する調査研究等に取り組んでいます。
実績のご紹介(一例)
- 令和3年度筆ポリゴンの高度利用に向けた調査業務(生態系サービス可視化プロジェクト)
- 令和3年度「あふの環2030プロジェクト」を活用した持続可能な生産消費の仕組みづくりに向けた調査・経済分析委託事業
- 土地改良事業の経済効果検討調査業務
- 令和元年度ICTやAI化に対応した新たな土づくり体制実態調査委託事業
- 平成30年度環境保全型農業効果調査委託事業
- 平成28年度農業農村整備事業におけるグリーンインフラ検討調査業務